2024年・03月 | |||
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四旬節第2金曜日 | 3月1日(金) | ||
第一朗読創世記37・3-4、12-13a、17b-28弟を殺して、その血を覆っても、何の得にもならない。 創世記3イスラエルは、ヨセフが年寄り子であったので、どの息子よりもかわいがり、彼には裾の長い晴れ着を作ってやった。4兄たちは、父がどの兄弟よりもヨセフをかわいがるのを見て、ヨセフを憎み、穏やかに話すこともできなかった。 12兄たちが出かけて行き、シケムで父の羊の群れを飼っていたとき、13aイスラエルはヨセフに言った。 「兄さんたちはシケムで羊を飼っているはずだ。お前を彼らのところへやりたいのだが。」 17bヨセフは兄たちの後を追って行き、ドタンで一行を見つけた。 18兄たちは、はるか遠くの方にヨセフの姿を認めると、まだ近づいて来ないうちに、ヨセフを殺してしまおうとたくらみ、19相談した。 「おい、向こうから例の夢見るお方がやって来る。20さあ、今だ。あれを殺して、穴の一つに投げ込もう。後は、野獣に食われたと言えばよい。あれの夢がどうなるか、見てやろう。」 21ルべンはこれを聞いて、ヨセフを彼らの手から助け出そうとして、言った。 「命まで取るのはよそう。」 22ルべンは続けて言った。 「血を流してはならない。荒れ野のこの穴に投げ入れよう。手を下してはならない。」 ルべンは、ヨセフを彼らの手から助け出して、父のもとへ帰したかったのである。 23ヨセフがやって来ると、兄たちはヨセフが着ていた着物、裾の長い晴れ着をはぎ取り、24彼を捕らえて、穴に投げ込んだ。その穴は空で水はなかった。 25彼らはそれから、腰を下ろして食事を始めたが、ふと目を上げると、イシュマエル人の隊商がギレアドの方からやって来るのが見えた。らくだに樹脂、乳香、没薬を積んで、エジプトに下って行こうとしているところであった。26ユダは兄弟たちに言った。 「弟を殺して、その血を覆っても、何の得にもならない。27それより、あのイシュマエル人に売ろうではないか。弟に手をかけるのはよそう。あれだって、肉親の弟だから。」 兄弟たちは、これを聞き入れた。 28ところが、その間にミディアン人の商人たちが通りかかって、ヨセフを穴から引き上げ、銀二十枚でイシュマエル人に売ったので、彼らはヨセフをエジプトに連れて行ってしまった。 答唱詩編詩編30・2b+4、11+12神はわたしを救われる。そのいつくしみをたたえよう。 詩編3030・2b神よ、あなたはわたしを救い、 11神よ、いつくしみ深くわたしを顧み、 福音朗読マタイ21・33-43、45-46神はひとり子をお与えになるほど、世を愛してくださった。神を信じる人は永遠の命に生きる。 マタイによる福音そのとき、イエスは祭司長や民の長老たちに言われた。21・33「もう一つのたとえを聞きなさい。ある家の主人がぶどう園を作り、垣を巡らし、その中に搾り場を掘り、見張りのやぐらを立て、これを農夫たちに貸して旅に出た。34さて、収穫の時が近づいたとき、収穫を受け取るために、僕たちを農夫たちのところへ送った。35だが、農夫たちはこの僕たちを捕まえ、一人を袋だたきにし、一人を殺し、一人を石で打ち殺した。36また、他の僕たちを前よりも多く送ったが、農夫たちは同じ目に遭わせた。37そこで最後に、『わたしの息子なら敬ってくれるだろう』と言って、主人は自分の息子を送った。38農夫たちは、その息子を見て話し合った。『これは跡取りだ。さあ、殺して、彼の相続財産を我々のものにしよう。』39そして、息子を捕まえ、ぶどう園の外にほうり出して殺してしまった。40さて、ぶどう園の主人が帰って来たら、この農夫たちをどうするだろうか。」41彼らは言った。「その悪人どもをひどい目に遭わせて殺し、ぶどう園は、季節ごとに収穫を納めるほかの農夫たちに貸すにちがいない。」42イエスは言われた。「聖書にこう書いてあるのを、まだ読んだことがないのか。 『家を建てる者の捨てた石、 43だから、言っておくが、神の国はあなたたちから取り上げられ、それにふさわしい実を結ぶ民族に与えられる。」 45祭司長たちやファリサイ派の人々はこのたとえを聞いて、イエスが自分たちのことを言っておられると気づき、46イエスを捕らえようとしたが、群衆を恐れた。群衆はイエスを預言者だと思っていたからである。 |
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四旬節第2土曜日 | 3月2日(土) | ||
第一朗読ミカ7・14-15、18-20主は再び我らを憐れみ、すべての罪を海の深みに投げ込まれる。 ミカの預言主よ、7・14あなたの杖をもって 答唱詩編詩編103・3+4、11+12心を尽くして神をたたえ、すべての恵みを心に留めよう。 詩編103103・3神はわたしの罪をゆるし、 11天が地より高いように、 福音朗読ルカ15・1-3、11-32父のもとに帰って言おう。「わたしは神にもあなたにも罪を犯しました。」 ルカによる福音そのとき、15・1徴税人や罪人が皆、話を聞こうとしてイエスに近寄って来た。2すると、ファリサイ派の人々や律法学者たちは、「この人は罪人たちを迎えて、食事まで一緒にしている」と不平を言いだした。3そこで、イエスは次のたとえを話された。 11「ある人に息子が二人いた。12弟の方が父親に、『お父さん、わたしが頂くことになっている財産の分け前をください』と言った。それで、父親は財産を二人に分けてやった。13何日もたたないうちに、下の息子は全部を金に換えて、遠い国に旅立ち、そこで放蕩の限りを尽くして、財産を無駄遣いしてしまった。14何もかも使い果たしたとき、その地方にひどい飢饉が起こって、彼は食べるにも困り始めた。15それで、その地方に住むある人のところに身を寄せたところ、その人は彼を畑にやって豚の世話をさせた。16彼は豚の食べるいなご豆を食べてでも腹を満たしたかったが、食べ物をくれる人はだれもいなかった。17そこで、彼は我に返って言った。『父のところでは、あんなに大勢の雇い人に、有り余るほどパンがあるのに、わたしはここで飢え死にしそうだ。18ここをたち、父のところに行って言おう。「お父さん、わたしは天に対しても、またお父さんに対しても罪を犯しました。19もう息子と呼ばれる資格はありません。雇い人の一人にしてください」と。』20そして、彼はそこをたち、父親のもとに行った。ところが、まだ遠く離れていたのに、父親は息子を見つけて、憐れに思い、走り寄って首を抱き、接吻した。21息子は言った。『お父さん、わたしは天に対しても、またお父さんに対しても罪を犯しました。もう息子と呼ばれる資格はありません。』22しかし、父親は僕たちに言った。『急いでいちばん良い服を持って来て、この子に着せ、手に指輪をはめてやり、足に履物を履かせなさい。23それから、肥えた子牛を連れて来て屠りなさい。食べて祝おう。24この息子は、死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったからだ。』そして、祝宴を始めた。 25ところで、兄の方は畑にいたが、家の近くに来ると、音楽や踊りのざわめきが聞こえてきた。26そこで、僕の一人を呼んで、これはいったい何事かと尋ねた。27僕は言った。『弟さんが帰って来られました。無事な姿で迎えたというので、お父上が肥えた子牛を屠られたのです。』28兄は怒って家に入ろうとはせず、父親が出て来てなだめた。29しかし、兄は父親に言った。『このとおり、わたしは何年もお父さんに仕えています。言いつけに背いたことは一度もありません。それなのに、わたしが友達と宴会をするために、子山羊一匹すらくれなかったではありませんか。30ところが、あなたのあの息子が、娼婦どもと一緒にあなたの身上を食いつぶして帰って来ると、肥えた子牛を屠っておやりになる。』31すると、父親は言った。『子よ、お前はいつもわたしと一緒にいる。わたしのものは全部お前のものだ。32だが、お前のあの弟は死んでいたのに生き返った。いなくなっていたのに見つかったのだ。祝宴を開いて楽しみ喜ぶのは当たり前ではないか。』」 |
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四旬節第3主日 | 3月3日(日) | ||
第一朗読出エジプト20・1-17律法はモーセを通して与えられた。 出エジプト記その日、20・1神はこれらすべての言葉を告げられた。 2「わたしは主、あなたの神、あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出した神である。3あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。 4あなたはいかなる像も造ってはならない。上は天にあり、下は地にあり、また地の下の水の中にある、いかなるものの形も造ってはならない。5あなたはそれらに向かってひれ伏したり、それらに仕えたりしてはならない。わたしは主、あなたの神。わたしは熱情の神である。わたしを否む者には、父祖の罪を子孫に三代、四代までも問うが、6わたしを愛し、わたしの戒めを守る者には、幾千代にも及ぶ慈しみを与える。 7あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。みだりにその名を唱える者を主は罰せずにはおかれない。 8安息日を心に留め、これを聖別せよ。9六日の間働いて、何であれあなたの仕事をし、10七日目は、あなたの神、主の安息日であるから、いかなる仕事もしてはならない。あなたも、息子も、娘も、男女の奴隷も、家畜も、あなたの町の門の中に寄留する人々も同様である。11六日の間に主は天と地と海とそこにあるすべてのものを造り、七日目に休まれたから、主は安息日を祝福して聖別されたのである。 12あなたの父母を敬え。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生きることができる。 13殺してはならない。 14姦淫してはならない。 15盗んではならない。 16隣人に関して偽証してはならない。 17隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛、ろばなど隣人のものを一切欲してはならない。」 答唱詩編詩編19・8、9、10主よ、あなたは永遠のいのちのことば。 詩編1919・8神の教えは完全で、 9神の定めは正しく、 10神のことばは正しく、 第二朗読①コリント1・22-25わたしたちは、十字架につけられたキリストを宣べ伝えている。キリストは、ある人々にはつまずかせるものだが、召された者には神の知恵である。 使徒パウロのコリントの教会への手紙皆さん、1・22ユダヤ人はしるしを求め、ギリシア人は知恵を探しますが、23わたしたちは、十字架につけられたキリストを宣べ伝えています。すなわち、ユダヤ人にはつまずかせるもの、異邦人には愚かなものですが、24ユダヤ人であろうがギリシア人であろうが、召された者には、神の力、神の知恵であるキリストを宣べ伝えているのです。25神の愚かさは人よりも賢く、神の弱さは人よりも強いからです。 福音朗読ヨハネ2・13-25神はひとり子をお与えになるほど、世を愛してくださった。神を信じる人は永遠の命に生きる。 ヨハネによる福音2・13ユダヤ人の過越祭が近づいたので、イエスはエルサレムヘ上って行かれた。14そして、神殿の境内で牛や羊や鳩を売っている者たちと、座って両替をしている者たちを御覧になった。15イエスは縄で鞭を作り、羊や牛をすべて境内から追い出し、両替人の金をまき散らし、その台を倒し、16鳩を売る者たちに言われた。「このような物はここから運び出せ。わたしの父の家を商売の家としてはならない。」17弟子たちは、「あなたの家を思う熱意がわたしを食い尽くす」と書いてあるのを思い出した。18ユダヤ人たちはイエスに、「あなたは、こんなことをするからには、どんなしるしをわたしたちに見せるつもりか」と言った。19イエスは答えて言われた。「この神殿を壊してみよ。三日で建て直してみせる。」20それでユダヤ人たちは、「この神殿は建てるのに四十六年もかかったのに、あなたは三日で建て直すのか」と言った。21イエスの言われる神殿とは、御自分の体のことだったのである。22イエスが死者の中から復活されたとき、弟子たちは、イエスがこう言われたのを思い出し、聖書とイエスの語られた言葉とを信じた。 23イエスは過越祭の間エルサレムにおられたが、そのなさったしるしを見て、多くの人がイエスの名を信じた。24しかし、イエス御自身は彼らを信用されなかった。それは、すべての人のことを知っておられ、25人間についてだれからも証ししてもらう必要がなかったからである。イエスは、何が人間の心の中にあるかをよく知っておられたのである。 |
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四旬節第3月曜日 | 3月4日(月) | ||
第一朗読列王記下5・1-15aイスラエルのほか、この世界のどこにも神はおられないことが分かりました。 列王記そのころ、5・1アラムの王の軍司令官ナアマンは、主君に重んじられ、気に入られていた。主がかつて彼を用いてアラムに勝利を与えられたからである。この人は勇士であったが、重い皮膚病を患っていた。2アラム人がかつて部隊を編成して出動したとき、彼らはイスラエルの地から一人の少女を捕虜として連れて来て、ナアマンの妻の召し使いにしていた。3少女は女主人に言った。「御主人様がサマリアの預言者のところにおいでになれば、その重い皮膚病をいやしてもらえるでしょうに。」4ナアマンが主君のもとに行き、「イスラエルの地から来た娘がこのようなことを言っています」と伝えると、5アラムの王は言った。「行くがよい。わたしもイスラエルの王に手紙を送ろう。」こうしてナアマンは銀十キカル、金六千シェケル、着替えの服十着を携えて出かけた。6彼はイスラエルの王に手紙を持って行った。そこには、こうしたためられていた。 「今、この手紙をお届けするとともに、家臣ナアマンを送り、あなたに託します。彼の重い皮膚病をいやしてくださいますように。」7イスラエルの王はこの手紙を読むと、衣を裂いて言った。「わたしが人を殺したり生かしたりする神だとでも言うのか。この人は皮膚病の男を送りつけていやせと言う。よく考えてみよ。彼はわたしに言いがかりをつけようとしているのだ。」 8神の人エリシャはイスラエルの王が衣を裂いたことを聞き、王のもとに人を遣わして言った。「なぜあなたは衣を裂いたりしたのですか。その男をわたしのところによこしてください。彼はイスラエルに預言者がいることを知るでしょう。」 9ナアマンは数頭の馬と共に戦車に乗ってエリシャの家に来て、その入り口に立った。10エリシャは使いの者をやってこう言わせた。「ヨルダン川に行って七度身を洗いなさい。そうすれば、あなたの体は元に戻り、清くなります。」11ナアマンは怒ってそこを去り、こう言った。「彼が自ら出て来て、わたしの前に立ち、彼の神、主の名を呼び、患部の上で手を動かし、皮膚病をいやしてくれるものと思っていた。12イスラエルのどの流れの水よりもダマスコの川アバナやパルパルの方が良いではないか。これらの川で洗って清くなれないというのか。」彼は身を翻して、憤慨しながら去って行った。13しかし、彼の家来たちが近づいて来ていさめた。「わが父よ、あの預言者が大変なことをあなたに命じたとしても、あなたはそのとおりなさったにちがいありません。あの預言者は、『身を洗え、そうすれば清くなる』と言っただけではありませんか。」14ナアマンは神の人の言葉どおりに下って行って、ヨルダンに七度身を浸した。彼の体は元に戻り、小さい子供の体のようになり、清くなった。 15彼は随員全員を連れて神の人のところに引き返し、その前に来て立った。「イスラエルのほか、この世界のどこにも神はおられないことが分かりました。」 答唱詩編詩編42・3+4、5谷川の水を求めて、あえぎさまよう鹿のように、神よ、わたしはあなたを慕う。 詩編4242・3わたしの心はあなたを求め、 5思い起こせば心は高鳴る。 福音朗読ルカ4・24-30わたしは神を待ち望み、その言葉に希望をおく。神はいつくしみと救いの恵みに満ちておられる。 ルカによる福音そのとき、イエスは、ナザレの会堂で人々に言われた。4・24「はっきり言っておく。預言者は、自分の故郷では歓迎されないものだ。25確かに言っておく。エリヤの時代に三年六か月の間、雨が降らず、その地方一帯に大飢饉が起こったとき、イスラエルには多くのやもめがいたが、26エリヤはその中のだれのもとにも遣わされないで、シドン地方のサレプタのやもめのもとにだけ遣わされた。27また、預言者エリシャの時代に、イスラエルには重い皮膚病を患っている人が多くいたが、シリア人ナアマンのほかはだれも清くされなかった。」28これを聞いた会堂内の人々は皆憤慨し、29総立ちになって、イエスを町の外へ追い出し、町が建っている山の崖まで連れて行き、突き落とそうとした。30しかし、イエスは人々の間を通り抜けて立ち去られた。 |
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四旬節第3火曜日 | 3月5日(火) | ||
第一朗読ダニエル補遺・アザルヤ2、11-20あなたに従う我らの歩みを全うさせてください。 ダニエルの預言その日、アザルヤは、2火の中で、口を開いて次のように祈った。 「主よ、11あなたの御名のゆえに我らを決して見捨てることなく、 答唱詩編詩編25・4+5a、8+9すべての人の救いを願い、わたしはあなたを待ち望む。 詩編2525・4神よ、あなたの道を示し、 8神はあわれみ深く正義に満ち、 福音朗読マタイ18・21-35心からわたしに立ち戻りなさい。わたしはいつくしみと恵みにあふれる神。 マタイによる福音18・21そのとき、ペトロがイエスのところに来て言った。「主よ、兄弟がわたしに対して罪を犯したなら、何回赦すべきでしょうか。七回までですか。」22イエスは言われた。「あなたに言っておく。七回どころか七の七十倍までも赦しなさい。23そこで、天の国は次のようにたとえられる。ある王が、家来たちに貸した金の決済をしようとした。24決済し始めたところ、一万タラントン借金している家来が、王の前に連れて来られた。25しかし、返済できなかったので、主君はこの家来に、自分も妻も子も、また持ち物も全部売って返済するように命じた。26家来はひれ伏し、『どうか待ってください。きっと全部お返しします』としきりに願った。27その家来の主君は憐れに思って、彼を赦し、その借金を帳消しにしてやった。28ところが、この家来は外に出て、自分に百デナリオンの借金をしている仲間に出会うと、捕まえて首を絞め、『借金を返せ』と言った。29仲間はひれ伏して、『どうか待ってくれ。返すから』としきりに頼んだ。30しかし、承知せず、その仲間を引っぱって行き、借金を返すまでと牢に入れた。31仲間たちは、事の次第を見て非常に心を痛め、主君の前に出て事件を残らず告げた。32そこで、主君はその家来を呼びつけて言った。『不届きな家来だ。お前が頼んだから、借金を全部帳消しにしてやったのだ。33わたしがお前を憐れんでやったように、お前も自分の仲間を憐れんでやるべきではなかったか。』34そして、主君は怒って、借金をすっかり返済するまでと、家来を牢役人に引き渡した。35あなたがたの一人一人が、心から兄弟を赦さないなら、わたしの天の父もあなたがたに同じようになさるであろう。」 |
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四旬節第3水曜日 | 3月6日(水) | ||
第一朗読申命記4・1、5-9わたしが教える掟と法を忠実に行いなさい。 申命記モーセは民に言った。4・1イスラエルよ、今、わたしが教える掟と法を忠実に行いなさい。そうすればあなたたちは命を得、あなたたちの先祖の神、主が与えられる土地に入って、それを得ることができるであろう。 5見よ、わたしがわたしの神、主から命じられたとおり、あなたたちに掟と法を教えたのは、あなたたちがこれから入って行って得る土地でそれを行うためである。6あなたたちはそれを忠実に守りなさい。そうすれば、諸国の民にあなたたちの知恵と良識が示され、彼らがこれらすべての掟を聞くとき、「この大いなる国民は確かに知恵があり、賢明な民である」と言うであろう。7いつ呼び求めても、近くにおられる我々の神、主のような神を持つ大いなる国民がどこにあるだろうか。8またわたしが今日あなたたちに授けるこのすべての律法のように、正しい掟と法を持つ大いなる国民がどこにいるだろうか。 9ただひたすら注意してあなた自身に十分気をつけ、目で見たことを忘れず、生涯心から離すことなく、子や孫たちにも語り伝えなさい。 答唱詩編詩編147・12+13、20+12主をたたえよう。主はいつくしみ深く、そのあわれみは永遠。 詩編147147・12エルサレムよ、神をほめたたえよ。 20神はほかの民にまだ示されず、 福音朗読マタイ5・17-19主よ、あなたのことばは霊であり、いのちです。あなたは永遠の命のことばをもっておられる。 マタイによる福音そのとき、イエスは弟子たちに言われた。5・17「わたしが来たのは律法や預言者を廃止するためだ、と思ってはならない。廃止するためではなく、完成するためである。18はっきり言っておく。すべてのことが実現し、天地が消えうせるまで、律法の文字から一点一画も消え去ることはない。19だから、これらの最も小さな掟を一つでも破り、そうするようにと人に教える者は、天の国で最も小さい者と呼ばれる。しかし、それを守り、そうするように教える者は、天の国で大いなる者と呼ばれる。」 |
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四旬節第3木曜日 | 3月7日(木) | ||
第一朗読エレミヤ7・23-28わたしの声に聞き従え。 エレミヤの預言主は言われる。7・23わたしは次のことをわたしの民に命じた。「わたしの声に聞き従え。そうすれば、わたしはあなたたちの神となり、あなたたちはわたしの民となる。わたしが命じる道にのみ歩むならば、あなたたちは幸いを得る。」24しかし、彼らは聞き従わず、耳を傾けず、彼らのかたくなで悪い心のたくらみに従って歩み、わたしに背を向け、顔を向けなかった。25お前たちの先祖がエジプトの地から出たその日から、今日に至るまで、わたしの僕である預言者らを、常に繰り返しお前たちに遣わした。26それでも、わたしに聞き従わず、耳を傾けず、かえって、うなじを固くし、先祖よりも悪い者となった。 27あなたが彼らにこれらすべての言葉を語っても、彼らはあなたに聞き従わず、呼びかけても答えないであろう。28それゆえあなたは彼らに言うがよい。「これは、その神、主の声に聞き従わず、懲らしめを受け入れず、その口から真実が失われ、断たれている民だ。」 答唱詩編詩編95・5+6、7+8神に向かって喜びうたい、感謝の歌をささげよう。 詩編9595・5海は神のもの、神に造られたもの。 7神は、わたしたちの神。 福音朗読ルカ11・14-23心からわたしに立ち戻りなさい。わたしはいつくしみと恵みにあふれる神。 ルカによる福音そのとき、11・14イエスは悪霊を追い出しておられたが、それは口を利けなくする悪霊であった。悪霊が出て行くと、口の利けない人がものを言い始めたので、群衆は驚嘆した。15しかし、中には、「あの男は悪霊の頭ベルゼブルの力で悪霊を追い出している」と言う者や、16イエスを試そうとして、天からのしるしを求める者がいた。17しかし、イエスは彼らの心を見抜いて言われた。「内輪で争えば、どんな国でも荒れ果て、家は重なり合って倒れてしまう。18あなたたちは、わたしがベルゼブルの力で悪霊を追い出していると言うけれども、サタンが内輪もめすれば、どうしてその国は成り立って行くだろうか。19わたしがベルゼブルの力で悪霊を追い出すのなら、あなたたちの仲間は何の力で追い出すのか。だから、彼ら自身があなたたちを裁く者となる。20しかし、わたしが神の指で悪霊を追い出しているのであれば、神の国はあなたたちのところに来ているのだ。21強い人が武装して自分の屋敷を守っているときには、その持ち物は安全である。22しかし、もっと強い者が襲って来てこの人に勝つと、頼みの武具をすべて奪い取り、分捕り品を分配する。23わたしに味方しない者はわたしに敵対し、わたしと一緒に集めない者は散らしている。」 |
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四旬節第3金曜日 | 3月8日(金) | ||
第一朗読ホセア14・2-10イスラエルよ、立ち帰れ、あなたの神、主のもとへ。 ホセアの預言主は言われる。 主に立ち帰って言え。 5わたしは背く彼らをいやし 9ああエフライム 10知恵ある者はこれらのことをわきまえよ。 答唱詩編詩編81・9+10、14+17わたしが受けた神のことば。 詩編8181・9「民よ、聞け、わたしの戒めを。 14「民がわたしのことばに従い、 福音朗読マルコ12・28b-34「神に立ち戻りなさい。神の国は来ている」と主は仰せになる。 マルコによる福音そのとき、一人の律法学者が進み出てイエスに訪ねた。12・28b「あらゆる掟のうちで、どれが第一でしょうか。」29イエスはお答えになった。「第一の掟は、これである。『イスラエルよ、聞け、わたしたちの神である主は、唯一の主である。30心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』31第二の掟は、これである。『隣人を自分のように愛しなさい。』この二つにまさる掟はほかにない。」32律法学者はイエスに言った。「先生、おっしゃるとおりです。『神は唯一である。ほかに神はない』とおっしゃったのは、本当です。33そして、『心を尽くし、知恵を尽くし、力を尽くして神を愛し、また隣人を自分のように愛する』ということは、どんな焼き尽くす献げ物やいけにえよりも優れています。」34イエスは律法学者が適切な答えをしたのを見て、「あなたは、神の国から遠くない」と言われた。もはや、あえて質問する者はなかった。 |
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四旬節第3土曜日 | 3月9日(土) | ||
第一朗読ホセア6・1-6わたしの行う裁きは光のように現れる。 ホセアの預言6・1「さあ、我々は主のもとに帰ろう。 4エフライムよわたしはお前をどうしたらよいのか。 答唱詩編詩編51・18+19、20+21あなたのいぶきを受けて、わたしは新しくなる。 詩編5151・18あなたはいけにえを望まれず、 20み旨のままにシオンを恵みで潤し、 福音朗読ルカ18・9-14神に心を閉じてはならない。きょうこそ神のことばを聞こう。 ルカによる福音そのとき、18・9自分は正しい人間だとうぬぼれて、他人を見下している人々に対しても、イエスは次のたとえを話された。10「二人の人が祈るために神殿に上った。一人はファリサイ派の人で、もう一人は徴税人だった。11ファリサイ派の人は立って、心の中でこのように祈った。『神様、わたしはほかの人たちのように、奪い取る者、不正な者、姦通を犯す者でなく、また、この徴税人のような者でもないことを感謝します。12わたしは週に二度断食し、全収入の十分の一を献げています。』13ところが、徴税人は遠くに立って、目を天に上げようともせず、胸を打ちながら言った。『神様、罪人のわたしを憐れんでください。』14言っておくが、義とされて家に帰ったのは、この人であって、あのファリサイ派の人ではない。だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる。」 |
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四旬節第4主日 | 3月10日(日) | ||
第一朗読歴代誌下36・14-16、19-23主の怒りと憐れみは、民の追放と解放によって明らかにされる。 歴代誌そのころ、ユダの王ゼデキヤは主の目に悪とされることを行った。36・14祭司長たちのすべても民と共に諸国の民のあらゆる忌むべき行いに倣って罪に罪を重ね、主が聖別されたエルサレムの神殿を汚した。15先祖の神、主は御自分の民と御住まいを憐れみ、繰り返し御使いを彼らに遣わされたが、16彼らは神の御使いを潮笑い、その言葉を蔑み、預言者を愚弄した。それゆえ、ついにその民に向かって主の怒りが燃え上がり、もはや手の施しようがなくなった。 19神殿には火が放たれ、エルサレムの城壁は崩され、宮殿はすべて灰燼に帰し、貴重な品々はことごとく破壊された。20剣を免れて生き残った者は捕らえられ、バビロンに連れ去られた。彼らはペルシアの王国に覇権が移るまで、バビロンの王とその王子たちの僕となった。21こうして主がエレミヤの口を通して告げられた言葉が実現し、この地はついに安息を取り戻した。その荒廃の全期間を通じて地は安息を得、七十年の年月が満ちた。 22ペルシアの王キュロスの第一年のことである。主はかつてエレミヤの口を通して約束されたことを成就するため、ペルシアの王キュロスの心を動かされた。キュロスは文書にも記して、国中に次のような布告を行き渡らせた。 23「ペルシアの王キュロスはこう言う。 答唱詩編詩編137・1+2、3+4エルサレムよ、おまえを忘れるよりは、わたしの右手がなえたほうがよい。エルサレムを思わず、最上の喜びとしないなら、わたしは口がきけなくなったほうがよい。 詩編137137・1バビロンの流れのほとりにすわり、 3わたしたちをとりこにしたものが、歌をもとめ、 第二朗読エフェソ2・4-10罪のために死んでいたとき、あなたがたは恵みによって救われた。 使徒パウロのエフェソの教会への手紙皆さん、2・4憐れみ豊かな神は、わたしたちをこの上なく愛してくださり、その愛によって、5罪のために死んでいたわたしたちをキリストと共に生かし、ーーあなたがたの救われたのは恵みによるのですーー6キリスト・イエスによって共に復活させ、共に天の王座に着かせてくださいました。7こうして、神は、キリスト・イエスにおいてわたしたちにお示しになった慈しみにより、その限りなく豊かな恵みを、来るべき世に現そうとされたのです。8事実、あなたがたは、恵みにより、信仰によって救われました。このことは、自らの力によるのではなく、神の賜物です。9行いによるのではありません。それは、だれも誇ることがないためなのです。10なぜなら、わたしたちは神に造られたものであり、しかも、神が前もって準備してくださった善い業のために、キリスト・イエスにおいて造られたからです。わたしたちは、その善い業を行って歩むのです。 福音朗読ヨハネ3・14-21神はひとり子をお与えになるほど、世を愛してくださった。神を信じる人は永遠の命に生きる。 ヨハネによる福音そのとき、イエスはニコデモに言われた。3・14「モーセが荒れ野で蛇を上げたように、人の子も上げられねばならない。15それは、信じる者が皆、人の子によって永遠の命を得るためである。16神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。17神が御子を世に遣わされたのは、世を裁くためではなく、御子によって世が救われるためである。18御子を信じる者は裁かれない。信じない者は既に裁かれている。神の独り子の名を信じていないからである。19光が世に来たのに、人々はその行いが悪いので、光よりも闇の方を好んだ。それが、もう裁きになっている。20悪を行う者は皆、光を憎み、その行いが明るみに出されるのを恐れて、光の方に来ないからである。21しかし、真理を行う者は光の方に来る。その行いが神に導かれてなされたということが、明らかになるために。」 |
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四旬節第4月曜日 | 3月11日(月) | ||
第一朗読イザヤ65・17-21わたしは新しい天と新しい地を創造する。 イザヤの預言主は言われる。 21彼らは家を建てて住み 答唱詩編詩編30・2b+4、13神はわたしを救われる。そのいつくしみをたたえよう。 詩編3030・2b神よ、あなたはわたしを救い、 13わたしの心はあなたをたたえ、 福音朗読ヨハネ4・43-54生きるために悪ではなく善を求めなさい。主はあなたがたとともにおられる。 ヨハネによる福音そのとき、イエスはサマリア4・43を出発して、ガリラヤへ行かれた。44イエスは自ら、「預言者は自分の故郷では敬われないものだ」とはっきり言われたことがある。45ガリラヤにお着きになると、ガリラヤの人たちはイエスを歓迎した。彼らも祭りに行ったので、そのときエルサレムでイエスがなさったことをすべて、見ていたからである。 46イエスは、再びガリラヤのカナに行かれた。そこは、前にイエスが水をぶどう酒に変えられた所である。さて、カファルナウムに王の役人がいて、その息子が病気であった。47この人は、イエスがユダヤからガリラヤに来られたと聞き、イエスのもとに行き、カファルナウムまで下って来て息子をいやしてくださるように頼んだ。息子が死にかかっていたからである。48イエスは役人に、「あなたがたは、しるしや不思議な業を見なければ、決して信じない」と言われた。49役人は、「主よ、子供が死なないうちに、おいでください」と言った。50イエスは言われた。「帰りなさい。あなたの息子は生きる。」その人は、イエスの言われた言葉を信じて帰って行った。51ところが、下って行く途中、僕たちが迎えに来て、その子が生きていることを告げた。52そこで、息子の病気が良くなった時刻を尋ねると、僕たちは、「きのうの午後一時に熱が下がりました」と言った。53それは、イエスが「あなたの息子は生きる」と言われたのと同じ時刻であることを、この父親は知った。そして、彼もその家族もこぞって信じた。54これは、イエスがユダヤからガリラヤに来てなされた、二回目のしるしである。 |
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四旬節第4火曜日 | 3月12日(火) | ||
第一朗読エゼキエル47・1-9、12主の使いはわたしを神殿の入り口に連れ戻した。 エゼキエルの預言その日、主の使いは47・1わたしを神殿の入り口に連れ戻した。すると見よ、水が神殿の敷居の下から湧き上がって、東の方へ流れていた。神殿の正面は東に向いていた。水は祭壇の南側から出て神殿の南壁の下を流れていた。2彼はわたしを北の門から外へ回らせ、東に向かう外の門に導いた。見よ、水は南壁から流れていた。3その人は、手に測り縄を持って東の方に出て行き、一千アンマを測り、わたしに水の中を渡らせると、水はくるぶしまであった。4更に一千アンマを測って、わたしに水を渡らせると、水は膝に達した。更に、一千アンマを測って、わたしに水を渡らせると、水は腰に達した。5更に彼が一千アンマを測ると、もはや渡ることのできない川になり、水は増えて、泳がなければ渡ることのできない川になった。6彼はわたしに、「人の子よ、見ましたか」と言って、わたしを川岸へ連れ戻した。7わたしが戻って来ると、川岸には、こちら側にもあちら側にも、非常に多くの木が生えていた。8彼はわたしに言った。「これらの水は東の地域へ流れ、アラバに下り、海、すなわち汚れた海に入って行く。すると、その水はきれいになる。9川が流れて行く所ではどこでも、群がるすべての生き物は生き返り、魚も非常に多くなる。この水が流れる所では、水がきれいになるからである。この川が流れる所では、すべてのものが生き返る。12川のほとり、その岸には、こちら側にもあちら側にも、あらゆる果樹が大きくなり、葉は枯れず、果実は絶えることなく、月ごとに実をつける。水が聖所から流れ出るからである。その果実は食用となり、葉は薬用となる。」 答唱詩編イザヤ35・6cd+7ab、10喜びに心をはずませ、救いの泉から水をくむ。 イザヤ3535・6cd荒れ野に水が湧き出て、砂漠に川が流れる。 10cd楽しみと喜びが彼らにあふれ、 福音朗読ヨハネ5・1-3a、5-16神よ、わたしのうちに清い心を造り、あなたの救いの喜びをわたしに返してください。 ヨハネによる福音ユダヤ人の祭りの日に、5・1イエスはエルサレムに上られた。2エルサレムには羊の門の傍らに、ヘブライ語で「ベトザタ」と呼ばれる池があり、そこには五つの回廊があった。3この回廊には、病気の人、目の見えない人、足の不自由な人、体の麻痺した人などが、大勢横たわっていた。5さて、そこに三十八年も病気で苦しんでいる人がいた。6イエスは、その人が横たわっているのを見、また、もう長い間病気であるのを知って、「良くなりたいか」と言われた。7病人は答えた。「主よ、水が動くとき、わたしを池の中に入れてくれる人がいないのです。わたしが行くうちに、ほかの人が先に降りて行くのです。」8イエスは言われた。「起き上がりなさい。床を担いで歩きなさい。」9すると、その人はすぐに良くなって、床を担いで歩きだした。 その日は安息日であった。10そこで、ユダヤ人たちは病気をいやしていただいた人に言った。「今日は安息日だ。だから床を担ぐことは、律法で許されていない。」11しかし、その人は、「わたしをいやしてくださった方が、『床を担いで歩きなさい』と言われたのです」と答えた。12彼らは、「お前に『床を担いで歩きなさい』と言ったのはだれだ」と尋ねた。13しかし、病気をいやしていただいた人は、それがだれであるか知らなかった。イエスは、群衆がそこにいる間に、立ち去られたからである。14その後、イエスは、神殿の境内でこの人に出会って言われた。「あなたは良くなったのだ。もう、罪を犯してはいけない。さもないと、もっと悪いことが起こるかもしれない。」15この人は立ち去って、自分をいやしたのはイエスだと、ユダヤ人たちに知らせた。16そのために、ユダヤ人たちはイエスを迫害し始めた。イエスが、安息日にこのようなことをしておられたからである。 |
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四旬節第4水曜日 | 3月13日(水) | ||
第一朗読イザヤ49・8-15見よ、人々が北から、西から、また、シニムの地から来る。 イザヤの預言49・8主はこう言われる。 彼らは家畜を飼いつつ道を行き 11わたしはすべての山に道をひらき 14シオンは言う。 答唱詩編詩編145・13cd+14、17+18神は恵みとあわれみに満ち、怒るに遅く、いつくしみ深い。 詩編145145・13cd神のことばは正しく、 17神の行われることはすべて正しく、 福音朗読ヨハネ5・17-30わたしは復活であり、いのちである。わたしを信じる人は永遠に死ぬことはない。 ヨハネによる福音そのとき、イエスはユダヤ人たちにお答えになった。5・17「わたしの父は今もなお働いておられる。だから、わたしも働くのだ。」18このために、ユダヤ人たちは、ますますイエスを殺そうとねらうようになった。イエスが安息日を破るだけでなく、神を御自分の父と呼んで、御自身を神と等しい者とされたからである。 19そこで、イエスは彼らに言われた。「はっきり言っておく。子は、父のなさることを見なければ、自分からは何事もできない。父がなさることはなんでも、子もそのとおりにする。20父は子を愛して、御自分のなさることをすべて子に示されるからである。また、これらのことよりも大きな業を子にお示しになって、あなたたちが驚くことになる。21すなわち、父が死者を復活させて命をお与えになるように、子も、与えたいと思う者に命を与える。22また、父はだれをも裁かず、裁きは一切子に任せておられる。23すべての人が、父を敬うように、子をも敬うようになるためである。子を敬わない者は、子をお遣わしになった父をも敬わない。24はっきり言っておく。わたしの言葉を聞いて、わたしをお遣わしになった方を信じる者は、永遠の命を得、また、裁かれることなく、死から命へと移っている。25はっきり言っておく。死んだ者が神の子の声を聞く時が来る。今やその時である。その声を聞いた者は生きる。26父は、御自身の内に命を持っておられるように、子にも自分の内に命を持つようにしてくださったからである。27また、裁きを行う権能を子にお与えになった。子は人の子だからである。28驚いてはならない。時が来ると、墓の中にいる者は皆、人の子の声を聞き、29善を行った者は復活して命を受けるために、悪を行った者は復活して裁きを受けるために出て来るのだ。 30わたしは自分では何もできない。ただ、父から聞くままに裁く。わたしの裁きは正しい。わたしは自分の意志ではなく、わたしをお遣わしになった方の御心を行おうとするからである。」 |
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四旬節第4木曜日 | 3月14日(木) | ||
第一朗読出エジプト32・7-14イスラエルよ、これこそあなたをエジプトの国から導き上った神々だ 出エジプト記その日、32・7主はモーセに仰せになった。「直ちに下山せよ。あなたがエジプトの国から導き上った民は堕落し、8早くもわたしが命じた道からそれて、若い雄牛の鋳像を造り、それにひれ伏し、いけにえをささげて、『イスラエルよ、これこそあなたをエジプトの国から導き上った神々だ』と叫んでいる。」9主は更に、モーセに言われた。「わたしはこの民を見てきたが、実にかたくなな民である。10今は、わたしを引き止めるな。わたしの怒りは彼らに対して燃え上がっている。わたしは彼らを滅ぼし尽くし、あなたを大いなる民とする。」11モーセは主なる神をなだめて言った。「主よ、どうして御自分の民に向かって怒りを燃やされるのですか。あなたが大いなる御力と強い御手をもってエジプトの国から導き出された民ではありませんか。12どうしてエジプト人に、『あの神は、悪意をもって彼らを山で殺し、地上から滅ぼし尽くすために導き出した』と言わせてよいでしょうか。どうか、燃える怒りをやめ、御自分の民にくだす災いを思い直してください。13どうか、あなたの僕であるアブラハム、イサク、イスラエルを思い起こしてください。あなたは彼らに自ら誓って、『わたしはあなたたちの子孫を天の星のように増やし、わたしが与えると約束したこの土地をことごとくあなたたちの子孫に授け、永久にそれを継がせる』と言われたではありませんか。」14主は御自身の民にくだす、と告げられた災いを思い直された。 答唱詩編詩編130・1+2+3、7+8神はわたしの唯一の望み、わたしはあなたにより頼む。 詩編130130・1神よ、深いふちからあなたに叫び、 7イスラエルよ、神により頼め、 福音朗読ヨハネ5・31-47神はひとり子をお与えになるほど、世を愛してくださった。神を信じる人は永遠の命に生きる。 ヨハネによる福音そのとき、イエスはユダヤ人たちに言われた。5・31「もし、わたしが自分自身について証しをするなら、その証しは真実ではない。32わたしについて証しをなさる方は別におられる。そして、その方がわたしについてなさる証しは真実であることを、わたしは知っている。33あなたたちはヨハネのもとへ人を送ったが、彼は真理について証しをした。34わたしは、人間による証しは受けない。しかし、あなたたちが救われるために、これらのことを言っておく。35ヨハネは、燃えて輝くともし火であった。あなたたちは、しばらくの間その光のもとで喜び楽しもうとした。36しかし、わたしにはヨハネの証しにまさる証しがある。父がわたしに成し遂げるようにお与えになった業、つまり、わたしが行っている業そのものが、父がわたしをお遣わしになったことを証ししている。37また、わたしをお遣わしになった父が、わたしについて証しをしてくださる。あなたたちは、まだ父のお声を聞いたこともなければ、お姿を見たこともない。38また、あなたたちは、自分の内に父のお言葉をとどめていない。父がお遣わしになった者を、あなたたちは信じないからである。39あなたたちは聖書の中に永遠の命があると考えて、聖書を研究している。ところが、聖書はわたしについて証しをするものだ。40それなのに、あなたたちは、命を得るためにわたしのところへ来ようとしない。 41わたしは、人からの誉れは受けない。42しかし、あなたたちの内には神への愛がないことを、わたしは知っている。43わたしは父の名によって来たのに、あなたたちはわたしを受け入れない。もし、ほかの人が自分の名によって来れば、あなたたちは受け入れる。44互いに相手からの誉れは受けるのに、唯一の神からの誉れは求めようとしないあなたたちには、どうして信じることができようか。45わたしが父にあなたたちを訴えるなどと、考えてはならない。あなたたちを訴えるのは、あなたたちが頼りにしているモーセなのだ。46あなたたちは、モーセを信じたのであれば、わたしをも信じたはずだ。モーセは、わたしについて書いているからである。47しかし、モーセの書いたことを信じないのであれば、どうしてわたしが語ることを信じることができようか。」 |
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四旬節第4金曜日 | 3月15日(金) | ||
第一朗読知恵2・1a、12-22神を信じない者はこのように考える。 知恵の書神を信じない者は2・1こう言い合うが、その考えは誤っている。 答唱詩編詩編34・16+18、19+23主を仰ぎ見て、光を受けよう。主が訪れる人の顔は輝く。 詩編3434・16主のまなざしは正しい人に、 19主はしいたげにあう者のそばにおられ、 福音朗読ヨハネ7・1-2、10、25-30人はパンによるだけではなく、神の言葉によって生きている。 ヨハネによる福音そのとき、7・1イエスはガリラヤを巡っておられた。ユダヤ人が殺そうとねらっていたので、ユダヤを巡ろうとは思われなかった。2ときに、ユダヤ人の仮庵祭が近づいていた。 10兄弟たちが祭りに上って行ったとき、イエス御自身も、人目を避け、隠れるようにして上って行かれた。 25さて、エルサレムの人々の中には次のように言う者たちがいた。「これは、人々が殺そうとねらっている者ではないか。26あんなに公然と話しているのに、何も言われない。議員たちは、この人がメシアだということを、本当に認めたのではなかろうか。27しかし、わたしたちは、この人がどこの出身かを知っている。メシアが来られるときは、どこから来られるのか、だれも知らないはずだ。」28すると、神殿の境内で教えていたイエスは、大声で言われた。「あなたたちはわたしのことを知っており、また、どこの出身かも知っている。わたしは自分勝手に来たのではない。わたしをお遣わしになった方は真実であるが、あなたたちはその方を知らない。29わたしはその方を知っている。わたしはその方のもとから来た者であり、その方がわたしをお遣わしになったのである。」30人々はイエスを捕らえようとしたが、手をかける者はいなかった。イエスの時はまだ来ていなかったからである。 |
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四旬節第4土曜日 | 3月16日(土) | ||
第一朗読エレミヤ11・18-20主が知らせてくださったのでわたしは知った。 エレミヤの預言11・18主が知らせてくださったので 答唱詩編詩編56・2+3、4+10わたしは神により頼み、そのみことばをたたえよう。 詩編5656・2神よ、あわれみを注いでください。 4恐れにとらえられるとき、 福音朗読ヨハネ7・40-53よい心で神のことばを保ち、忍耐を持って実を結ぶ人は幸い。 ヨハネによる福音そのとき、イエスの7・40言葉を聞いて、群衆の中には、「この人は、本当にあの預言者だ」と言う者や、41「この人はメシアだ」と言う者がいたが、このように言う者もいた。「メシアはガリラヤから出るだろうか。42メシアはダビデの子孫で、ダビデのいた村ベツレヘムから出ると、聖書に書いてあるではないか。」43こうして、イエスのことで群衆の間に対立が生じた。44その中にはイエスを捕らえようと思う者もいたが、手をかける者はなかった。 45さて、祭司長たちやファリサイ派の人々は、下役たちが戻って来たとき、「どうして、あの男を連れて来なかったのか」と言った。46下役たちは、「今まで、あの人のように話した人はいません」と答えた。47すると、ファリサイ派の人々は言った。「お前たちまでも惑わされたのか。48議員やファリサイ派の人々の中に、あの男を信じた者がいるだろうか。49だが、律法を知らないこの群衆は、呪われている。」50彼らの中の一人で、以前イエスを訪ねたことのあるニコデモが言った。51「我々の律法によれば、まず本人から事情を聞き、何をしたかを確かめたうえでなければ、判決を下してはならないことになっているではないか。」52彼らは答えて言った。「あなたもガリラヤ出身なのか。よく調べてみなさい。ガリラヤからは預言者の出ないことが分かる。」 53人々はおのおの家へ帰って行った。 |
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四旬節第5主日 | 3月17日(日) | ||
第一朗読エレミヤ31・31-34わたしはイスラエルの家と新しい契約を結び、彼らの罪に心を留めることはない。 エレミヤの預言31・31見よ、わたしがイスラエルの家、ユダの家と新しい契約を結ぶ日が来る、と主は言われる。32この契約は、かつてわたしが彼らの先祖の手を取ってエジプトの地から導き出したときに結んだものではない。わたしが彼らの主人であったにもかかわらず、彼らはこの契約を破った、と主は言われる。33しかし、来るべき日に、わたしがイスラエルの家と結ぶ契約はこれである、と主は言われる。すなわち、わたしの律法を彼らの胸の中に授け、彼らの心にそれを記す。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。34そのとき、人々は隣人どうし、兄弟どうし、「主を知れ」と言って教えることはない。彼らはすべて、小さい者も大きい者もわたしを知るからである、と主は言われる。わたしは彼らの悪を赦し、再び彼らの罪に心を留めることはない。 答唱詩編詩編51・3+4、12+13、14+15あなたのいぶきを受けて、わたしは新しくなる。 詩編5151・3神よ、いつくしみ深くわたしを顧み、 12神よ、わたしのうちに清い心を造り、 14救いの喜びをわたしに返し、 第二朗読ヘブライ5・7-9キリストは従順を学び、永遠の救いの源となられた。 ヘブライ人への手紙5・7キリストは、肉において生きておられたとき、激しい叫び声をあげ、涙を流しながら、御自分を死から救う力のある方に、祈りと願いとをささげ、その畏れ敬う態度のゆえに聞き入れられました。8キリストは御子であるにもかかわらず、多くの苦しみによって従順を学ばれました。9そして、完全な者となられたので、御自分に従順であるすべての人々に対して、永遠の救いの源となりました。 福音朗読ヨハネ12・20-33わたしに仕えたい人はわたしに従いなさい。わたしがいる所にわたしに使える人もいる。 ヨハネによる福音12・20さて、祭りのとき礼拝するためにエルサレムに上って来た人々の中に、何人かのギリシア人がいた。21彼らは、ガリラヤのベトサイダ出身のフィリポのもとへ来て、「お願いです。イエスにお目にかかりたいのです」と頼んだ。22フィリポは行ってアンデレに話し、アンデレとフィリポは行って、イエスに話した。23イエスはこうお答えになった。「人の子が栄光を受ける時が来た。24はっきり言っておく。一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ。25自分の命を愛する者は、それを失うが、この世で自分の命を憎む人は、それを保って永遠の命に至る。26わたしに仕えようとする者は、わたしに従え。そうすれば、わたしのいるところに、わたしに仕える者もいることになる。わたしに仕える者がいれば、父はその人を大切にしてくださる。 27今、わたしは心騒ぐ。何と言おうか。『父よ、わたしをこの時から救ってください』と言おうか。しかし、わたしはまさにこの時のために来たのだ。28父よ、御名の栄光を現してください。」すると、天から声が聞こえた。「わたしは既に栄光を現した。再び栄光を現そう。」29そばにいた群衆は、これを聞いて、「雷が鳴った」と言い、ほかの者たちは「天使がこの人に話しかけたのだ」と言った。30イエスは答えて言われた。「この声が聞こえたのは、わたしのためではなく、あなたがたのためだ。31今こそ、この世が裁かれる時。今、この世の支配者が追放される。32わたしは地上から上げられるとき、すべての人を自分のもとへ引き寄せよう。」 33イエスは、御自分がどのような死を遂げるかを示そうとして、こう言われたのである。 |
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四旬節第5月曜日 | 3月18日(月) | ||
第一朗読ダニエル補遺・スザンナ1-9、15-17、19-30、33-62(長い形)永遠の神、隠されたことを知り、あらゆることをその起こる前から知っておられる方よ。 ダニエルの預言1バビロンにヨアキムという男が住んでいた。2男は妻をめとった。ケルキアの娘で、名をスザンナといい、大層美しく、主を畏れるひとであった。3また、彼女の両親も正しい人で、自分たちの娘をモーセの律法に従って教育した。4夫ヨアキムは、大変裕福で、その家の隣に美しい庭園を持っていた。ヨアキムは、この上なく評判の良い人であったので、ユダヤ人たちはよく彼の所に集まった。5さて、その年、民の中から裁判官として二人の長老が選ばれた。「バビロンで、民を治めるはずの裁判官である長老から不法が始まった」と主が語られたのは、この二人についてである。6二人はいつもヨアキムの家に詰めており、裁きを求める人々は皆、彼らのもとにやって来た。7正午になり人々が立ち去ると、スザンナは、夫の庭園に入り散策するのが常であった。8二人の長老は、彼女が毎日庭に入り散策するのを見て、彼女に欲情を抱くようになった。9二人は理性を失い、天から目を背けて仰ぎ見ることもせず、正しい裁きに心を用いることもしなくなった。 15彼らが、折をうかがっていると、彼女がいつものように侍女二人だけを伴って庭に出て来たが、非常に暑い日であったので、水浴びをしようと思った。16そこには、隠れてのぞいている二人の長老のほかは、だれもいなかった。17スザンナは侍女に、「オリーブ油と香油を持って来なさい。水浴びをしますから庭園の戸は閉めておきなさい」と言った。 19侍女たちが出て行くと、二人の長老は立ち上がり、スザンナのもとに走り寄った。20彼らは言った。「ごらん。庭園の戸は閉じている。だれも見ていません。わたしたちは、あなたが欲しくてたまりません。言うことを聞いて身を任せなさい。21さもなければ、わたしたちは、『あなたが、若い男と一緒にいたので、侍女たちを下がらせたのだ』と証言します。」22そこで、スザンナは嘆息して言った。「わたしには逃げ道がありません。もし身を任せれば、わたしは死を免れません。もしそうしなければ、今度はあなたたちの罠にかかることになります。23そんなことをして主の前に罪を犯すよりは、あなたたちの罠にかかる方がましです。」24こう言って、スザンナは大声で叫びたてた。すると二人の長老も彼女に負けじと叫びたて、25一人が走って行き、庭園の戸を開け放った。26庭園の叫び声を聞きつけて、家の者たちは彼女の身に何事が起きたのかと、わきの戸口から駆け込んで来た。27そこで、長老たちは自分らの作り話をしたが、召し使いたちは非常に恥ずかしい思いでこれを聞いた。そのようなことは、スザンナについて言われたことがなかったからである。28翌日、人々が彼女の夫ヨアキムの家に集まったとき、二人の長老らもやって来た。二人は、スザンナを死罪に定めようというよこしまな考えを抱いていたのである。人々を前にして彼らは言った。29「ケルキアの娘、ヨアキムの妻スザンナを呼んで来なさい。」人々は彼女を呼びにやった。30スザンナは、両親や子供たち、それに親族の者たち皆と一緒にやって来た。 33彼女の身内の者も、見ていた人たちも皆泣いた。34二人の長老は、人々の中央に立ち、彼女の頭に手を置いた。35彼女は泣きながら天を仰いだ。心から主を信頼していたからである。36長老は言った。「我々が庭園を歩いておりますと、この女が二人のはしためを伴って入って来て、庭園の戸を閉め、彼女らを下がらせました。37すると、隠れていた一人の若者が彼女に近づき、彼女と一緒に横たわりました。38我々は庭園の片隅にいたのですが、このよこしまな行為を見て、彼らの方に走って行きました。39我々は、二人が情を交わしているのを見ましたが、その男を取り押さえることはできませんでした。彼は我々より力が強く、戸を開けて逃げてしまったのです。40そこで、我々はこの女を捕らえて、あの若者がだれかと問いただしましたが、41答えようとしませんでした。我々は、この事実を証言します。」集まっていた人々は、二人が民の長老であり、裁判官であるゆえに、その言葉を信じ、彼女を死罪に定めた。42すると、スザンナは、大声で叫んだ。「ああ、永遠の神、隠されたことを知り、あらゆることをその起こる前から知っておられる方よ。43彼らがわたしについて偽証したことをあなたはご存じです。御覧ください。この人たちが悪意をもって作り上げたことをわたしは何一つしませんでした。それなのに死なねばなりません。」44主は彼女の声を聞かれた。45彼女が処刑のために引かれて行くとき、神はダニエルという若者の内にある、聖なる霊を呼び覚まされた。46彼は大声で、「わたしは、この婦人の血について責任はない」と叫んだ。47それで、人々は皆、ダニエルの方を向いて、「あなたが言ったことは、いったい、どういうことなのか」と言った。48ダニエルは人々の真ん中に立って言った。「イスラエルの子らよ、あなたがたは、それほど愚かなのですか。究明もせず、真実も知らずに、イスラエルの娘を断罪するのですか。49もう一度、裁きの場に戻りなさい。なぜならこの二人は彼女について偽証したからです。」50そこで、人々は皆、急いで戻った。ほかの長老たちはダニエルに言った。「こちらへ来て我々の真ん中に座りなさい。そしてわたしたちにはっきり言いなさい。神があなたに長老の特権を与えられたのだから。」51ダニエルは彼らに言った。「あの二人を遠く引き離してください。わたしが審問いたします。」52それで、二人が別々に引き離されると、ダニエルはそのうちの一人を呼んで言った。「悪の日々を重ねてきた老いぼれよ、今や、あなたが過去に犯した罪の報いがやってきた。53主が、『罪なき人、正しい人を殺してはならない』と言っておられるにもかかわらず、あなたは不正な裁きを行い、罪なき人を断罪し、責めある者を見逃した。54あなたが彼女を見たと言うのなら言っていただきましょう。二人が一緒にいたのはどんな木の下でしたか。」それで彼は、「乳香樹の下だ」と答えた。55ダニエルは言った。「まさしくあなたは致命的な偽証をしたのだ。今や、神の使いが、神の判決を受け取り、あなたを二つに裂く。」56次にダニエルは彼を去らせ、他の一人を連れて来るよう命じた。ダニエルは彼に言った。「カナンの末裔よ、あなたはユダ族の子孫である資格はない。あなたは美貌に目がくらみ、欲情に心を迷わせた。57あなたたちはいつもこのように、イスラエルの娘たちにしていたのだ。彼女らは恐ろしさのあまりあなたたちに身を任せた。しかし、ユダの娘の中に一人、あなたたちのよこしまなふるまいに、屈服しなかった者がいる。58さて、わたしに答えていただきましょう。二人が一緒のところをあなたが捕らえたのは、どんな木の下でしたか。」彼は、「かしわの木の下だ」と答えた。59ダニエルは言った。「まさしくあなたも致命的な偽証をした。神の使いが剣を持ち、あなたを真っ二つに切り裂こうと待ち構え、あなたたちを討ち滅ぼす。」60すると全会衆は大声で叫び、神を、すなわち御自分に望みを置く人々を救われる神を賛美した。61人々は二人の長老に対して立ち上がった。なぜなら、彼らが偽証人であったことをダニエルが彼ら自身の証言によって明らかにしたからである。人々は二人がその隣人を陥れようとしたのと同じことを彼らに対して行った。62すなわちモーセの律法に従って二人を死刑に処したのである。こうしてこの日、無実の人の血が流されずにすんだ。 答唱詩編詩編23・2+3、4主はわれらの牧者、わたしは乏しいことがない。 詩編2323・2神はわたしを緑のまきばに伏させ、 4たとえ死の陰の谷を歩んでも、 福音朗読ヨハネ8・1-11悪を行う人が死ぬことなく、神に立ち戻って生きることを神は望んでおられる。 ヨハネによる福音そのとき、8・1イエスはオリーブ山へ行かれた。2朝早く、再び神殿の境内に入られると、民衆が皆、御自分のところにやって来たので、座って教え始められた。3そこへ、律法学者たちやファリサイ派の人々が、姦通の現場で捕らえられた女を連れて来て、真ん中に立たせ、4イエスに言った。「先生、この女は姦通をしているときに捕まりました。5こういう女は石で打ち殺せと、モーセは律法の中で命じています。ところで、あなたはどうお考えになりますか。」6イエスを試して、訴える口実を得るために、こう言ったのである。イエスはかがみ込み、指で地面に何か書き始められた。7しかし、彼らがしつこく問い続けるので、イエスは身を起こして言われた。「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい。」8そしてまた、身をかがめて地面に書き続けられた。9これを聞いた者は、年長者から始まって、一人また一人と、立ち去ってしまい、イエスひとりと、真ん中にいた女が残った。10イエスは、身を起こして言われた。「婦人よ、あの人たちはどこにいるのか。だれもあなたを罪に定めなかったのか。」11女が、「主よ、だれも」と言うと、イエスは言われた。「わたしもあなたを罪に定めない。行きなさい。これからは、もう罪を犯してはならない。」 |
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聖ヨセフ | 3月19日(火) | 祭日 | |
第一朗読サムエル下7・4-5a、12-14a、16神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。 サムエル記7・4その夜、ナタンに臨んだ主の言葉は次のとおりであった。 5a「わたしの僕ダビデのもとに行って告げよ。主はこう言われる。 12あなたが生涯を終え、先祖と共に眠るとき、あなたの身から出る子孫に跡を継がせ、その王国を揺るぎないものとする。13この者がわたしの名のために家を建て、わたしは彼の王国の王座をとこしえに堅く据える。14わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。16あなたの家、あなたの王国は、あなたの行く手にとこしえに続き、あなたの王座はとこしえに堅く据えられる。」 答唱詩編詩編89・29+35、37+38神のいつくしみをとこしえに歌い、主のまことを代々に告げよう。 詩編8989・29わたしのいつくしみは永遠に変わることなく、 37ダビドの子孫はとこしえに続き、 第二朗読ローマ4・13、16-18、22彼は希望するすべもなかったときに、なおも望みを抱いて、信じた。 使徒パウロのローマの教会への手紙皆さん、4・13神はアブラハムやその子孫に世界を受け継がせることを約束されたが、その約束は、律法に基づいてではなく、信仰による義に基づいてなされたのです。 16従って、信仰によってこそ世界を受け継ぐ者となるのです。恵みによって、アブラハムのすべての子孫、つまり、単に律法に頼る者だけでなく、彼の信仰に従う者も、確実に約束にあずかれるのです。彼はわたしたちすべての父です。17「わたしはあなたを多くの民の父と定めた」と書いてあるとおりです。死者に命を与え、存在していないものを呼び出して存在させる神を、アブラハムは信じ、その御前でわたしたちの父となったのです。18彼は希望するすべもなかったときに、なおも望みを抱いて、信じ、「あなたの子孫はこのようになる」と言われていたとおりに、多くの民の父となりました。22だからまた、それが彼の義と認められたわけです。 福音朗読マタイ1・16、18-21、24a幸せな人、あなたの家を住まいとし、絶えずあなたをたたえる人。 マタイによる福音1・16ヤコブはマリアの夫ヨセフをもうけた。このマリアからメシアと呼ばれるイエスがお生まれになった。 18イエス・キリストの誕生の次第は次のようであった。母マリアはヨセフと婚約していたが、二人が一緒になる前に、聖霊によって身ごもっていることが明らかになった。19夫ヨセフは正しい人であったので、マリアのことを表ざたにするのを望まず、ひそかに縁を切ろうと決心した。20このように考えていると、主の天使が夢に現れて言った。「ダビデの子ヨセフ、恐れず妻マリアを迎え入れなさい。マリアの胎の子は聖霊によって宿ったのである。21マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救うからである。」24ヨセフは眠りから覚めると、主の天使が命じたとおりにした。 またはルカ2・41-51a幸せな人、あなたの家を住まいとし、絶えずあなたをたたえる人。 ルカによる福音2・41イエスの両親は過越祭には毎年エルサレムへ旅をした。42イエスが十二歳になったときも、両親は祭りの慣習に従って都に上った。43祭りの期間が終わって帰路についたとき、少年イエスはエルサレムに残っておられたが、両親はそれに気づかなかった。44イエスが道連れの中にいるものと思い、一日分の道のりを行ってしまい、それから、親類や知人の間を捜し回ったが、45見つからなかったので、捜しながらエルサレムに引き返した。46三日の後、イエスが神殿の境内で学者たちの真ん中に座り、話を聞いたり質問したりしておられるのを見つけた。47聞いている人は皆、イエスの賢い受け答えに驚いていた。48両親はイエスを見て驚き、母が言った。「なぜこんなことをしてくれたのです。御覧なさい。お父さんもわたしも心配して捜していたのです。」49すると、イエスは言われた。「どうしてわたしを捜したのですか。わたしが自分の父の家にいるのは当たり前だということを、知らなかったのですか。」50しかし、両親にはイエスの言葉の意味が分からなかった。51aそれから、イエスは一緒に下って行き、ナザレに帰り、両親に仕えてお暮らしになった。 |
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四旬節第5水曜日 | 3月20日(水) | ||
第一朗読ダニエル3・14-20、24-25、28お前たちがわたしの神に仕えず、わたしの建てた金の像を拝まないというのは本当か。 ダニエルの預言その日、ネブカドネツァル王は言った。3・14「シャドラク、メシャク、アベド・ネゴ、お前たちがわたしの神に仕えず、わたしの建てた金の像を拝まないというのは本当か。15今、角笛、横笛、六絃琴、竪琴、十三絃琴、風琴などあらゆる楽器の音楽が聞こえると同時にひれ伏し、わたしの建てた金の像を拝むつもりでいるなら、それでよい。もしも拝まないなら、直ちに燃え盛る炉に投げ込ませる。お前たちをわたしの手から救い出す神があろうか。」 16シャドラク、メシャク、アベド・ネゴはネブカドネツァル王に答えた。 「このお定めにつきまして、お答えする必要はございません。17わたしたちのお仕えする神は、その燃え盛る炉や王様の手からわたしたちを救うことができますし、必ず救ってくださいます。18そうでなくとも、御承知ください。わたしたちは王様の神々に仕えることも、お建てになった金の像を拝むことも、決していたしません。」 19ネブカドネツァル王はシャドラク、メシャク、アベド・ネゴに対して血相を変えて怒り、炉をいつもの七倍も熱く燃やすように命じた。20そして兵士の中でも特に強い者に命じて、シャドラク、メシャク、アベド・ネゴを縛り上げ、燃え盛る炉に投げ込ませた。 24間もなく王は驚きの色を見せ、急に立ち上がり、側近たちに尋ねた。 「あの三人の男は、縛ったまま炉に投げ込んだはずではなかったか。」 彼らは答えた。 「王様、そのとおりでございます。」 25王は言った。 「だが、わたしには四人の者が火の中を自由に歩いているのが見える。そして何の害も受けていない。それに四人目の者は神の子のような姿をしている。」 28ネブカドネツァル王は言った。 「シャドラク、メシャク、アベド・ネゴの神をたたえよ。彼らは王の命令に背き、体を犠牲にしても自分の神に依り頼み、自分の神以外にはいかなる神にも仕えず、拝もうともしなかったので、この僕たちを、神は御使いを送って救われた。」 答唱詩編ダニエル補遺・アザルヤ29、30+32神の名はあまねく世界に輝き、その栄光は天にそびえる。 ダニエル補遺・アザルヤ29わたしたちの先祖の神である主よ、あなたに賛美。 30あなたの栄光、聖なる神殿の中であなたに賛美。 福音朗読ヨハネ8・31-42よい心で神のことばを保ち、忍耐を持って実を結ぶ人は幸い。 ヨハネによる福音そのとき、8・31イエスは、御自分を信じたユダヤ人たちに言われた。「わたしの言葉にとどまるならば、あなたたちは本当にわたしの弟子である。32あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする。」33すると、彼らは言った。「わたしたちはアブラハムの子孫です。今までだれかの奴隷になったことはありません。『あなたたちは自由になる』とどうして言われるのですか。」34イエスはお答えになった。「はっきり言っておく。罪を犯す者はだれでも罪の奴隷である。35奴隷は家にいつまでもいるわけにはいかないが、子はいつまでもいる。36だから、もし子があなたたちを自由にすれば、あなたたちは本当に自由になる。37あなたたちがアブラハムの子孫だということは、分かっている。だが、あなたたちはわたしを殺そうとしている。わたしの言葉を受け入れないからである。38わたしは父のもとで見たことを話している。ところが、あなたたちは父から聞いたことを行っている。」 39彼らが答えて、「わたしたちの父はアブラハムです」と言うと、イエスは言われた。「アブラハムの子なら、アブラハムと同じ業をするはずだ。40ところが、今、あなたたちは、神から聞いた真理をあなたたちに語っているこのわたしを、殺そうとしている。アブラハムはそんなことはしなかった。41あなたたちは、自分の父と同じ業をしている。」そこで彼らが、「わたしたちは姦淫によって生まれたのではありません。わたしたちにはただひとりの父がいます。それは神です」と言うと、42イエスは言われた。「神があなたたちの父であれば、あなたたちはわたしを愛するはずである。なぜなら、わたしは神のもとから来て、ここにいるからだ。わたしは自分勝手に来たのではなく、神がわたしをお遣わしになったのである。」 |
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四旬節第5木曜日 | 3月21日(木) | ||
第一朗読創世記17・3-9あなたは、もはやアブラムではなく、アブラハムと名乗りなさい。 創世記その日、神は、ひれ伏しているアブラハムに17・3語りかけて言われた。 4「これがあなたと結ぶわたしの契約である。あなたは多くの国民の父となる。5あなたは、もはやアブラムではなく、アブラハムと名乗りなさい。あなたを多くの国民の父とするからである。 6わたしは、あなたをますます繁栄させ、諸国民の父とする。王となる者たちがあなたから出るであろう。7わたしは、あなたとの間に、また後に続く子孫との間に契約を立て、それを永遠の契約とする。そして、あなたとあなたの子孫の神となる。8わたしは、あなたが滞在しているこのカナンのすべての土地を、あなたとその子孫に、永久の所有地として与える。わたしは彼らの神となる。」 9神はまた、アブラハムに言われた。 答唱詩編詩編105・3b+4+5、6+7+8a+10b心を尽くして神をたたえ、すべての恵みを心に留めよう。 詩編105105・3b神を捜し求める者よ、心から喜べ。 6神のしもべ、選ばれた者よ、 福音朗読ヨハネ8・51-59神に心を閉じてはならない。今日こそ神のことばを聞こう。 ヨハネによる福音そのとき、イエスはユダヤ人たちに言われた。8・51「はっきり言っておく。わたしの言葉を守るなら、その人は決して死ぬことがない。」52ユダヤ人たちは言った。「あなたが悪霊に取りつかれていることが、今はっきりした。アブラハムは死んだし、預言者たちも死んだ。ところが、あなたは、『わたしの言葉を守るなら、その人は決して死を味わうことがない』と言う。53わたしたちの父アブラハムよりも、あなたは偉大なのか。彼は死んだではないか。預言者たちも死んだ。いったい、あなたは自分を何者だと思っているのか。」54イエスはお答えになった。「わたしが自分自身のために栄光を求めようとしているのであれば、わたしの栄光はむなしい。わたしに栄光を与えてくださるのはわたしの父であって、あなたたちはこの方について、『我々の神だ』と言っている。55あなたたちはその方を知らないが、わたしは知っている。わたしがその方を知らないと言えば、あなたたちと同じくわたしも偽り者になる。しかし、わたしはその方を知っており、その言葉を守っている。56あなたたちの父アブラハムは、わたしの日を見るのを楽しみにしていた。そして、それを見て、喜んだのである。」57ユダヤ人たちが、「あなたは、まだ五十歳にもならないのに、アブラハムを見たのか」と言うと、58イエスは言われた。「はっきり言っておく。アブラハムが生まれる前から、『わたしはある。』」59すると、ユダヤ人たちは、石を取り上げ、イエスに投げつけようとした。しかし、イエスは身を隠して、神殿の境内から出て行かれた。 |
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四旬節第5金曜日 | 3月22日(金) | ||
第一朗読エレミヤ20・10-13主に向かって歌い、主を賛美せよ。 エレミヤの預言20・10わたしには聞こえています 11しかし主は、恐るべき勇士として 13主に向かって歌い、主を賛美せよ。 答唱詩編詩編18・3、33+37神はわたしを救われる。そのいつくしみをたたえよう。 詩編1818・3神はわたしのとりで、わたしの岩、 33神はわたしに力を与え、 福音朗読ヨハネ10・31-42主よ、あなたのことばは霊であり、いのちです。あなたは永遠の命のことばをもっておられる。 ヨハネによる福音そのとき、10・31ユダヤ人たちは、イエスを石で打ち殺そうとして、また石を取り上げた。32すると、イエスは言われた。「わたしは、父が与えてくださった多くの善い業をあなたたちに示した。その中のどの業のために、石で打ち殺そうとするのか。」33ユダヤ人たちは答えた。「善い業のことで、石で打ち殺すのではない。神を冒涜したからだ。あなたは、人間なのに、自分を神としているからだ。」34そこで、イエスは言われた。「あなたたちの律法に、『わたしは言う。あなたたちは神々である』と書いてあるではないか。35神の言葉を受けた人たちが、『神々』と言われている。そして、聖書が廃れることはありえない。36それなら、父から聖なる者とされて世に遣わされたわたしが、『わたしは神の子である』と言ったからとて、どうして『神を冒涜している』と言うのか。37もし、わたしが父の業を行っていないのであれば、わたしを信じなくてもよい。38しかし、行っているのであれば、わたしを信じなくても、その業を信じなさい。そうすれば、父がわたしの内におられ、わたしが父の内にいることを、あなたたちは知り、また悟るだろう。」39そこで、ユダヤ人たちはまたイエスを捕らえようとしたが、イエスは彼らの手を逃れて、去って行かれた。 40イエスは、再びヨルダンの向こう側、ヨハネが最初に洗礼を授けていた所に行って、そこに滞在された。41多くの人がイエスのもとに来て言った。「ヨハネは何のしるしも行わなかったが、彼がこの方について話したことは、すべて本当だった。」42そこでは、多くの人がイエスを信じた。 |
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四旬節第5土曜日 | 3月23日(土) | ||
第一朗読エゼキエル37・21-28わたしがイスラエルを聖別する主であることを知るようになる。 エゼキエル預言37・21主なる神はこう言われる。「わたしはイスラエルの子らを、彼らが行っていた国々の中から取り、周囲から集め、彼らの土地に連れて行く。22わたしはわたしの地、イスラエルの山々で彼らを一つの国とする。一人の王が彼らすべての王となる。彼らは二度と二つの国となることなく、二度と二つの王国に分かれることはない。23彼らは二度と彼らの偶像や憎むべきもの、もろもろの背きによって汚されることはない。わたしは、彼らが過ちを犯したすべての背信から彼らを救い清める。そして、彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。24わたしの僕ダビデは彼らの王となり、一人の牧者が彼らすべての牧者となる。彼らはわたしの裁きに従って歩み、わたしの掟を守り行う。25彼らはわたしがわが僕ヤコブに与えた土地に住む。そこはお前たちの先祖が住んだ土地である。彼らも、その子らも、孫たちも、皆、永遠に至るまでそこに住む。そして、わが僕ダビデが永遠に彼らの支配者となる。26わたしは彼らと平和の契約を結ぶ。それは彼らとの永遠の契約となる。わたしは彼らの住居を定め、彼らを増し加える。わたしはまた、永遠に彼らの真ん中にわたしの聖所を置く。27わたしの住まいは彼らと共にあり、わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。28わたしの聖所が永遠に彼らの真ん中に置かれるとき、諸国民は、わたしがイスラエルを聖別する主であることを知るようになる。」 答唱詩編詩編65・5、6われらはシオンで神をたたえ、豊かな恵みを喜びうたう。 詩編6565・5あなたの庭に住むように選ばれ、 6わたしたちの救い、わたしたちの神よ、 福音朗読ヨハネ11・45-56わたしにはむかう心を捨てて、新しい霊と心を身につけよ。 ヨハネによる福音そのとき、11・45マリアのところに来て、イエスのなさったことを目撃したユダヤ人の多くは、イエスを信じた。46しかし、中には、ファリサイ派の人々のもとへ行き、イエスのなさったことを告げる者もいた。47そこで、祭司長たちとファリサイ派の人々は最高法院を召集して言った。「この男は多くのしるしを行っているが、どうすればよいか。48このままにしておけば、皆が彼を信じるようになる。そして、ローマ人が来て、我々の神殿も国民も滅ぼしてしまうだろう。」49彼らの中の一人で、その年の大祭司であったカイアファが言った。「あなたがたは何も分かっていない。50一人の人間が民の代わりに死に、国民全体が滅びないで済む方が、あなたがたに好都合だとは考えないのか。」51これは、カイアファが自分の考えから話したのではない。その年の大祭司であったので預言して、イエスが国民のために死ぬ、と言ったのである。52国民のためばかりでなく、散らされている神の子たちを一つに集めるためにも死ぬ、と言ったのである。53この日から、彼らはイエスを殺そうとたくらんだ。 54それで、イエスはもはや公然とユダヤ人たちの間を歩くことはなく、そこを去り、荒れ野に近い地方のエフライムという町に行き、弟子たちとそこに滞在された。 55さて、ユダヤ人の過越祭が近づいた。多くの人が身を清めるために、過越祭の前に地方からエルサレムへ上った。56彼らはイエスを捜し、神殿の境内で互いに言った。「どう思うか。あの人はこの祭りには来ないのだろうか。」 |
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受難の主日[枝の主日] | 3月24日(日) | ||
入城の福音マルコ11・1-10主の名によって来られる方に、祝福があるように。 マルコによる福音11・1一行がエルサレムに近づいて、オリーブ山のふもとにあるベトファゲとベタニアにさしかかったとき、イエスは二人の弟子を使いに出そうとして、2言われた。「向こうの村へ行きなさい。村に入るとすぐ、まだだれも乗ったことのない子ろばのつないであるのが見つかる。それをほどいて、連れて来なさい。3もし、だれかが、『なぜ、そんなことをするのか』と言ったら、『主がお入り用なのです。すぐここにお返しになります』と言いなさい。」4二人は、出かけて行くと、表通りの戸口に子ろばのつないであるのを見つけたので、それをほどいた。5すると、そこに居合わせたある人々が、「その子ろばをほどいてどうするのか」と言った。6二人が、イエスの言われたとおり話すと、許してくれた。7二人が子ろばを連れてイエスのところに戻って来て、その上に自分の服をかけると、イエスはそれにお乗りになった。8多くの人が自分の服を道に敷き、また、ほかの人々は野原から葉の付いた枝を切って来て道に敷いた。9そして、前を行く者も後に従う者も叫んだ。「ホサナ。主の名によって来られる方に、祝福があるように。10我らの父ダビデの来るべき国に、祝福があるように。いと高きところにホサナ。」 第一朗読イザヤ50・4-7わたしは顔を隠さずに、嘲りを受けた。しかしわたしは知っている。わたしが辱められることはない、と。 イザヤの預言50・4主なる神は、弟子としての舌をわたしに与え 答唱詩編詩編22・8+9、17+18、19+20、23+24わたしの神、わたしの神、どうしてわたしを見捨てられるのか。 詩編2222・8わたしを見る者はみなあざ笑い、 17犬がわたしを取り囲み、 19彼らはわたしの衣を分け合い、 23わたしはあなたの名を兄弟に告げ、 第二朗読フィリピ2・6-11キリストはへりくだった。このため神はキリストを高く上げた。 使徒パウロのフィリピの教会への手紙2・6キリストは、神の身分でありながら、神と等しい者であることに固執しようとは思わず、7かえって自分を無にして、僕の身分になり、人間と同じ者になられました。人間の姿で現れ、8へりくだって、死に至るまで、それも十字架の死に至るまで従順でした。9このため、神はキリストを高く上げ、あらゆる名にまさる名をお与えになりました。10こうして、天上のもの、地上のもの、地下のものがすべて、イエスの卸名にひざまずき、11すべての舌が、「イエス・キリストは主である」と公に宣べて、父である神をたたえるのです。 受難の朗読マルコ15・1-39「キリストは人間の姿で」 マルコによる主イエス・キリストの受難C 15・1夜が明けるとすぐ、祭司長たちは、長老や律法学者たちと共に、つまり最高法院全体で相談した後、イエスを縛って引いて行き、ピラトに渡した。2ピラトはイエスに尋問した。 A 「お前がユダヤ人の王なのか。」 C イエスは答えられた。 十 「それは、あなたが言っていることです。」 C 3そこで祭司長たちが、いろいろとイエスを訴えた。4ピラトが再び尋問した。 A 「何も答えないのか。彼らがあのようにお前を訴えているのに。」 C 5しかし、イエスがもはや何もお答えにならなかったので、ピラトは不思議に思った。6ところで、祭りの度ごとに、ピラトは人々が願い出る囚人を一人釈放していた。7さて、暴動のとき人殺しをして投獄されていた暴徒たちの中に、バラバという男がいた。8群衆が押しかけて来て、いつものようにしてほしいと要求し始めた。9そこで、ピラトは言った。 A 「あのユダヤ人の王を釈放してほしいのか。」 C 10祭司長たちがイエスを引き渡したのは、ねたみのためだと分かっていたからである。11祭司長たちは、バラバの方を釈放してもらうように群衆を扇動した。12そこで、ピラトは改めて言った。 A 「それでは、ユダヤ人の王とお前たちが言っているあの者は、どうしてほしいのか。」 C 13群衆はまた叫んだ。 S 「十字架につけろ。」 C 14ピラトは言った。 A 「いったいどんな悪事を働いたというのか。」 C 群衆はますます激しく叫び立てた。 S 「十字架につけろ。」 C 15ピラトは群衆を満足させようと思って、バラバを釈放した。そして、イエスを鞭打ってから、十字架につけるために引き渡した。16兵士たちは、官邸、すなわち総督官邸の中に、イエスを引いて行き、部隊の全員を呼び集めた。17そして、イエスに紫の服を着せ、茨の冠を編んでかぶらせ、 A 18「ユダヤ人の王、万歳」 C と言って敬礼し始めた。19また何度も、葦の棒で頭をたたき、唾を吐きかけ、ひざまずいて拝んだりした。20このようにイエスを侮辱したあげく、紫の服を脱がせて元の服を着せた。そして、十字架につけるために外へ引き出した。21そこへ、アレクサンドロとルフォスとの父でシモンというキレネ人が、田舎から出て来て通りかかったので、兵士たちはイエスの十字架を無理に担がせた。22そして、イエスをゴルゴタという所その意味は「されこうべの場所」に連れて行った。23没薬を混ぜたぶどう酒を飲ませようとしたが、イエスはお受けにならなかった。24それから、兵士たちはイエスを十字架につけて、その服を分け合った、だれが何を取るかをくじ引きで決めてから。25イエスを十字架につけたのは、午前九時であった。26罪状書きには、「ユダヤ人の王」と書いてあった。27また、イエスと一緒に二人の強盗を、一人は右にもう一人は左に、十字架につけた。28-29そこを通りかかった人々は、頭を振りながらイエスをののしって言った。 A 「おやおや、神殿を打ち倒し、三日で建てる者、30十字架から降りて自分を救ってみろ。」 C 31同じように、祭司長たちも律法学者たちと一緒になって、代わる代わるイエスを侮辱して言った。 A 「他人は救ったのに、自分は救えない。32メシア、イスラエルの王、今すぐ十字架から降りるがいい。それを見たら、信じてやろう。」 C 一緒に十字架につけられた者たちも、イエスをののしった。33昼の十二時になると、全地は暗くなり、それが三時まで続いた。34三時にイエスは大声で叫ばれた。 十 「エロイ、工ロイ、レマ、サバクタニ。」 C これは、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。35そばに居合わせた人々のうちには、これを聞いて、 A 「そら、エリヤを呼んでいる」 C と言う者がいた。36ある者が走り寄り、海綿に酸いぶどう酒を含ませて葦の棒に付け、 A 「待て、エリヤが彼を降ろしに来るかどうか、見ていよう」 C と言いながら、イエスに飲ませようとした。37しかし、イエスは大声を出して息を引き取られた。 38すると、神殿の垂れ幕が上から下まで真っ二つに裂けた。39百人隊長がイエスの方を向いて、そばに立っていた。そして、イエスがこのように息を引き取られたのを見て言った。 A 「本当に、この人は神の子だった。」 |
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受難の月曜日 | 3月25日(月) | ||
第一朗読イザヤ42・1-7主であるわたしは、恵みをもってあなたを呼び、あなたの手を取った。 イザヤの預言42・1見よ、わたしの僕、わたしが支える者を。 5主である神はこう言われる。 答唱詩編詩編27・1、13+14神よ、あなたの顔の光を、わたしたちの上に照らしてください。 詩編2727・1神はわたしの光、わたしの救い、 13神に生きる人々の中で 福音朗読ヨハネ12・1-11わたしたちの王である主よ、わたしたちの過ちをあわれんでくださったのはあなただけです。 ヨハネによる福音12・1過越祭の六日前に、イエスはベタニアに行かれた。そこには、イエスが死者の中からよみがえらせたラザロがいた。2イエスのためにそこで夕食が用意され、マルタは給仕をしていた。ラザロは、イエスと共に食事の席に着いた人々の中にいた。3そのとき、マリアが純粋で非常に高価なナルドの香油を一リトラ持って来て、イエスの足に塗り、自分の髪でその足をぬぐった。家は香油の香りでいっぱいになった。4弟子の一人で、後にイエスを裏切るイスカリオテのユダが言った。5「なぜ、この香油を三百デナリオンで売って、貧しい人々に施さなかったのか。」6彼がこう言ったのは、貧しい人々のことを心にかけていたからではない。彼は盗人であって、金入れを預かっていながら、その中身をごまかしていたからである。7イエスは言われた。「この人のするままにさせておきなさい。わたしの葬りの日のために、それを取って置いたのだから。8貧しい人々はいつもあなたがたと一緒にいるが、わたしはいつも一緒にいるわけではない。」 9イエスがそこにおられるのを知って、ユダヤ人の大群衆がやって来た。それはイエスだけが目当てではなく、イエスが死者の中からよみがえらせたラザロを見るためでもあった。10祭司長たちはラザロをも殺そうと謀った。11多くのユダヤ人がラザロのことで離れて行って、イエスを信じるようになったからである。 |
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受難の火曜日 | 3月26日(火) | ||
第一朗読イザヤ49・1-6わたしはあなたを国々の光とする。 イザヤの預言49・1島々よ、わたしに聞け 答唱詩編詩編71・3b+4+5a、6b+15+16父よ、あなたこそわたしの神、わたしのすべてをあなたに。 詩編7171・3b神よ、あなたはわたしの岩、わたしのとりで。 6b神よ、あなたの正義と救いのわざを 福音朗読ヨハネ13・21-33、36-38わたしたちの王である主よ、父に従ってあなたは十字架につけられるため、子羊のように連れて行かれた。 ヨハネによる福音そのとき、イエスは、弟子たちとともに食事の席についておられたが13・21心を騒がせ、断言された。「はっきり言っておく。あなたがたのうちの一人がわたしを裏切ろうとしている。」22弟子たちは、だれについて言っておられるのか察しかねて、顔を見合わせた。23イエスのすぐ隣には、弟子たちの一人で、イエスの愛しておられた者が食事の席に着いていた。24シモン・ペトロはこの弟子に、だれについて言っておられるのかと尋ねるように合図した。25その弟子が、イエスの胸もとに寄りかかったまま、「主よ、それはだれのことですか」と言うと、26イエスは、「わたしがパン切れを浸して与えるのがその人だ」と答えられた。それから、パン切れを浸して取り、イスカリオテのシモンの子ユダにお与えになった。27ユダがパン切れを受け取ると、サタンが彼の中に入った。そこでイエスは、「しようとしていることを、今すぐ、しなさい」と彼に言われた。28座に着いていた者はだれも、なぜユダにこう言われたのか分からなかった。29ある者は、ユダが金入れを預かっていたので、「祭りに必要な物を買いなさい」とか、貧しい人に何か施すようにと、イエスが言われたのだと思っていた。30ユダはパン切れを受け取ると、すぐ出て行った。夜であった。 31さて、ユダが出て行くと、イエスは言われた。「今や、人の子は栄光を受けた。神も人の子によって栄光をお受けになった。32神が人の子によって栄光をお受けになったのであれば、神も御自身によって人の子に栄光をお与えになる。しかも、すぐにお与えになる。33子たちよ、いましばらく、わたしはあなたがたと共にいる。あなたがたはわたしを捜すだろう。『わたしが行く所にあなたたちは来ることができない』とユダヤ人たちに言ったように、今、あなたがたにも同じことを言っておく。」 36シモン・ペトロがイエスに言った。「主よ、どこへ行かれるのですか。」イエスが答えられた。「わたしの行く所に、あなたは今ついて来ることはできないが、後でついて来ることになる。」37ペトロは言った。「主よ、なぜ今ついて行けないのですか。あなたのためなら命を捨てます。」38イエスは答えられた。「わたしのために命を捨てると言うのか。はっきり言っておく。鶏が鳴くまでに、あなたは三度わたしのことを知らないと言うだろう。」 |
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受難の水曜日 | 3月27日(水) | ||
第一朗読イザヤ50・4-9a見よ、主なる神が助けてくださる。 イザヤの預言50・4主なる神は、弟子としての舌をわたしに与え 答唱詩編詩編69・31+33、34+35主は豊かなあがないに満ち、いつくしみ深い。 詩編6969・31神の名をたたえてわたしはうたい、 34神は貧しい人々に耳を傾け、 福音朗読マタイ26・14-25わたしたちの王である主よ、わたしたちの過ちをあわれんでくださったのはあなただけです。 マタイによる福音26・14そのとき、十二人の一人で、イスカリオテのユダという者が、祭司長たちのところへ行き、15「あの男をあなたたちに引き渡せば、幾らくれますか」と言った。そこで、彼らは銀貨三十枚を支払うことにした。16そのときから、ユダはイエスを引き渡そうと、良い機会をねらっていた。 17除酵祭の第一日に、弟子たちがイエスのところに来て、「どこに、過越の食事をなさる用意をいたしましょうか」と言った。18イエスは言われた。「都のあの人のところに行ってこう言いなさい。『先生が、「わたしの時が近づいた。お宅で弟子たちと一緒に過越の食事をする」と言っています。』」19弟子たちは、イエスに命じられたとおりにして、過越の食事を準備した。20夕方になると、イエスは十二人と一緒に食事の席に着かれた。21一同が食事をしているとき、イエスは言われた。「はっきり言っておくが、あなたがたのうちの一人がわたしを裏切ろうとしている。」22弟子たちは非常に心を痛めて、「主よ、まさかわたしのことでは」と代わる代わる言い始めた。23イエスはお答えになった。「わたしと一緒に手で鉢に食べ物を浸した者が、わたしを裏切る。24人の子は、聖書に書いてあるとおりに、去って行く。だが、人の子を裏切るその者は不幸だ。生まれなかった方が、その者のためによかった。」25イエスを裏切ろうとしていたユダが口をはさんで、「先生、まさかわたしのことでは」と言うと、イエスは言われた。「それはあなたの言ったことだ。」 |
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聖木曜日・聖香油のミサ | 3月28日(木) | ||
第一朗読イザヤ61・1-3a、6a、8b-9わたしを遣わして貧しい人に良い知らせを伝えさせるために。 イザヤの預言61・1主はわたしに油を注ぎ 6あなたたちは主の祭司と呼ばれ 8主なるわたしはまことをもって彼らの労苦に報い 答唱詩編詩編詩編89・21+22、25+27神のいつくしみをとこしえに歌い、主のまことを代々に告げよう。 詩編89・21わたしはしもべダビドを選び、 25いつくしみとまことは彼とともにあり、 第二朗読黙示録1・5-8わたしはアルファであり、オメガである。 ヨハネの黙示1・5証人であり、誠実な方、死者の中から最初に復活した方、地上の王たちの支配者、イエス・キリストから恵みと平和があなたがたにあるように。わたしたちを愛し、御自分の血によって罪から解放してくださった方に、6わたしたちを王とし、御自身の父である神に仕える祭司としてくださった方に、栄光と力が世々限りなくありますように、アーメン。 7見よ、その方が雲に乗って来られる。 8神である主、今おられ、かつておられ、やがて来られる方、全能者がこう言われる。「わたしはアルファであり、オメガである。」 福音朗読ルカ4・16-21神の霊はわたしの上にある。貧しい人に福音を告げるため、神はわたしを選ばれた。 ルカによる福音そのとき、4・16イエスはお育ちになったナザレに来て、いつものとおり安息日に会堂に入り、聖書を朗読しようとしてお立ちになった。17預言者イザヤの巻物が渡され、お開きになると、次のように書いてある個所が目に留まった。 18「主の霊がわたしの上におられる。 20イエスは巻物を巻き、係の者に返して席に座られた。会堂にいるすべての人の目がイエスに注がれていた。21そこでイエスは、「この聖書の言葉は、今日、あなたがたが耳にしたとき、実現した」と話し始められた。 |
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聖木曜日・主の晩餐の夕べのミサ | 3月28日(木) | ||
第一朗読出エジプト記12・1-8、11-14過越の食事についての規定 出エジプト記その日、12・1エジプトの国で、主はモーセとアロンに言われた。2「この月をあなたたちの正月とし、年の初めの月としなさい。3イスラエルの共同体全体に次のように告げなさい。『今月の十日、人はそれぞれ父の家ごとに、すなわち家族ごとに小羊を一匹用意しなければならない。4もし、家族が少人数で小羊一匹を食べきれない場合には、隣の家族と共に、人数に見合うものを用意し、めいめいの食べる量に見合う小羊を選ばねばならない。5その小羊は、傷のない一歳の雄でなければならない。用意するのは羊でも山羊でもよい。6それは、この月の十四日まで取り分けておき、イスラエルの共同体の会衆が皆で夕暮れにそれを屠り、7その血を取って、小羊を食べる家の入り口の二本の柱と鴨居に塗る。8そしてその夜、肉を火で焼いて食べる。また、酵母を入れないパンを苦菜を添えて食べる。 11それを食べるときは、腰帯を締め、靴を履き、杖を手にし、急いで食べる。これが主の過越である。12その夜、わたしはエジプトの国を巡り、人であれ、家畜であれ、エジプトの国のすべての初子を撃つ。また、エジプトのすべての神々に裁きを行う。わたしは主である。13あなたたちのいる家に塗った血は、あなたたちのしるしとなる。血を見たならば、わたしはあなたたちを過ぎ越す。わたしがエジプトの国を撃つとき、滅ぼす者の災いはあなたたちに及ばない。14この日は、あなたたちにとって記念すべき日となる。あなたたちは、この日を主の祭りとして祝い、代々にわたって守るべき不変の定めとして祝わねばならない。』」 答唱詩編詩編116・12+13、15+16b、17+18このパンを食べ、この杯を飲み、わたしは主の死を告げ知らせる。 詩編116116・12神が与えてくださったすべての恵みに、 15神を敬う人の死は、 17わたしは感謝のいけにえをささげ、 第二朗読①コリント11・23-26あなたがたは食べ、飲むごとに主の死を告げ知らせるのである。 使徒パウロのコリントの教会への手紙皆さん、11・23わたしがあなたがたに伝えたことは、わたし自身、主から受けたものです。すなわち、主イエスは、引き渡される夜、パンを取り、24感謝の祈りをささげてそれを裂き、「これは、あなたがたのためのわたしの体である。わたしの記念としてこのように行いなさい」と言われました。25また、食事の後で、杯も同じようにして、「この杯は、わたしの血によって立てられる新しい契約である。飲む度に、わたしの記念としてこのように行いなさい」と言われました。26だから、あなたがたは、このパンを食べこの杯を飲むごとに、主が来られるときまで、主の死を告げ知らせるのです。 福音朗読ヨハネ13・1-15新しい掟をあなたがたに与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように。 ヨハネによる福音13・1過越祭の前のことである。イエスは、この世から父のもとへ移る御自分の時が来たことを悟り、世にいる弟子たちを愛して、この上なく愛し抜かれた。2夕食のときであった。既に悪魔は、イスカリオテのシモンの子ユダに、イエスを裏切る考えを抱かせていた。3イエスは、父がすべてを御自分の手にゆだねられたこと、また、御自分が神のもとから来て、神のもとに帰ろうとしていることを悟り、4食事の席から立ち上がって上着を脱ぎ、手ぬぐいを取って腰にまとわれた。5それから、たらいに水をくんで弟子たちの足を洗い、腰にまとった手ぬぐいでふき始められた。6シモン・ペトロのところに来ると、ペトロは、「主よ、あなたがわたしの足を洗ってくださるのですか」と言った。7イエスは答えて、「わたしのしていることは、今あなたには分かるまいが、後で、分かるようになる」と言われた。8ペトロが「わたしの足など、決して洗わないでください」と言うと、イエスは、「もしわたしがあなたを洗わないなら、あなたはわたしと何のかかわりもないことになる」と答えられた。9そこでシモン・ペトロが言った。「主よ、足だけでなく、手も頭も。」10イエスは言われた。「既に体を洗った者は、全身清いのだから、足だけ洗えばよい。あなたがたは清いのだが、皆が清いわけではない。」11イエスは、御自分を裏切ろうとしている者がだれであるかを知っておられた。それで、「皆が清いわけではない」と言われたのである。 12さて、イエスは、弟子たちの足を洗ってしまうと、上着を着て、再び席に着いて言われた。「わたしがあなたがたにしたことが分かるか。13あなたがたは、わたしを『先生』とか『主』とか呼ぶ。そのように言うのは正しい。わたしはそうである。14ところで、主であり、師であるわたしがあなたがたの足を洗ったのだから、あなたがたも互いに足を洗い合わなければならない。15わたしがあなたがたにしたとおりに、あなたがたもするようにと、模範を示したのである。」 |
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聖金曜日・主の受難 | 3月29日(金) | ||
第一朗読イザヤ52・13-53・12彼が刺し貫かれたのは、わたしたちの背きのためであった。 イザヤの預言主は言われる。 53・1わたしたちの聞いたことを、誰が信じえようか。 答唱詩編詩編31・2+6、12+13、15+16、24+25父よ、あなたこそわたしの神。わたしのすべてをあなたに。 詩編3131・2神よ、あなたのもとにわたしはのがれる。 12敵はみなわたしをあざけり、まわりの人はわたしをのけものにする。 15神よ、わたしはあなたにより頼む。 24神を信じるすべての人よ、神を愛せ。 第二朗読ヘブライ4・14-16、5・7-9キリストは従順を学ばれ、御自分に従順であるすべての人々に対して救いの源となった。 ヘブライ人の手紙皆さん、4・14わたしたちには、もろもろの天を通過された偉大な大祭司、神の子イエスが与えられているのですから、わたしたちの公に言い表している信仰をしっかり保とうではありませんか。15この大祭司は、わたしたちの弱さに同情できない方ではなく、罪を犯されなかったが、あらゆる点において、わたしたちと同様に試練に遭われたのです。16だから、憐れみを受け、恵みにあずかって、時宜にかなった助けをいただくために、大胆に恵みの座に近づこうではありませんか。 5・7キリストは、肉において生きておられたとき、激しい叫び声をあげ、涙を流しながら、御自分を死から救う力のある方に、祈りと願いとをささげ、その畏れ敬う態度のゆえに聞き入れられました。8キリストは御子であるにもかかわらず、多くの苦しみによって従順を学ばれました。9そして、完全な者となられたので、御自分に従順であるすべての人々に対して、永遠の救いの源となったのです。 受難の朗読ヨハネ18・1-19・42「キリストは人間の姿で」 ヨハネによる主イエス・キリストの受難C 18・1夕食のあと、イエスは弟子たちと一緒に、キドロンの谷の向こうへ出て行かれた。そこには園があり、イエスは弟子たちとその中に入られた。2イエスを裏切ろうとしていたユダも、その場所を知っていた。イエスは、弟子たちと共に度々ここに集まっておられたからである。3それでユダは、一隊の兵士と、祭司長たちやファリサイ派の人々の遣わした下役たちを引き連れて、そこにやって来た。松明やともし火や武器を手にしていた。4イエスは御自分の身に起こることを何もかも知っておられ、進み出て、言われた。 十 「だれを捜しているのか。」 C 5彼らは答えた。 S 「ナザレのイエスだ。」 C イエスは言われた。 十 「わたしである。」 C イエスを裏切ろうとしていたユダも彼らと一緒にいた。6イエスが「わたしである」と言われたとき、彼らは後ずさりして、地に倒れた。7そこで、イエスは重ねてお尋ねになった。 十 「だれを捜しているのか。」 C 彼らは言った。 S 「ナザレのイエスだ。」 C 8すると、イエスは言われた。 十 「『わたしである』と言ったではないか。わたしを捜しているのなら、この人々は去らせなさい。」 C 9それは、「あなたが与えてくださった人を、わたしは一人も失いませんでした」と言われたイエスの言葉が実現するためであった。10シモン・ペトロは剣を持っていたので、それを抜いて大祭司の手下に打ってかかり、その右の耳を切り落とした。手下の名はマルコスであった。11イエスはペトロに言われた。 十 「剣をさやに納めなさい。父がお与えになった杯は、飲むべきではないか。」 C 12そこで一隊の兵士と千人隊長、およびユダヤ人の下役たちは、イエスを捕らえて縛り、13まず、アンナスのところへ連れて行った。彼が、その年の大祭司カイアファのしゅうとだったからである。14一人の人間が民の代わりに死ぬ方が好都合だと、ユダヤ人たちに助言したのは、このカイアファであった。 15シモン・ペトロともう一人の弟子は、イエスに従った。この弟子は大祭司の知り合いだったので、イエスと一緒に大祭司の屋敷の中庭に入ったが、16ペトロは門の外に立っていた。大祭司の知り合いである、そのもう一人の弟子は、出て来て門番の女に話し、ペトロを中に入れた。17門番の女中はペトロに言った。 A 「あなたも、あの人の弟子の一人ではありませんか。」 C ペトロは言った。 A 「違う。」 C 18僕や下役たちは、寒かったので炭火をおこし、そこに立って火にあたっていた。ペトロも彼らと一緒に立って、火にあたっていた。19大祭司はイエスに弟子のことや教えについて尋ねた。20イエスは答えられた。 十 「わたしは、世に向かって公然と話した。わたしはいつも、ユダヤ人が皆集まる会堂や神殿の境内で教えた。ひそかに話したことは何もない。21なぜ、わたしを尋問するのか。わたしが何を話したかは、それを聞いた人々に尋ねるがよい。その人々がわたしの話したことを知っている。」 C 22イエスがこう言われると、そばにいた下役の一人が、イエスを平手で打って言った。 A 「大祭司に向かって、そんな返事のしかたがあるか。」 C 23イエスは答えられた。 十 「何か悪いことをわたしが言ったのなら、その悪いところを証明しなさい。正しいことを言ったのなら、なぜわたしを打つのか。」 C 24アンナスは、イエスを縛ったまま、大祭司カイアファのもとに送った。25シモン・ペトロは立って火にあたっていた。人々は言った。 A 「お前もあの男の弟子の一人ではないのか。」 C ペトロは打ち消して、言った。 A 「違う。」 C 26大祭司の僕の一人で、ペトロに片方の耳を切り落とされた人の身内の者が言った。 A 「園であの男と一緒にいるのを、わたしに見られたではないか。」 C 27ペトロは、再び打ち消した。するとすぐ、鶏が鳴いた。 28人々は、イエスをカイアファのところから総督官邸に連れて行った。明け方であった。しかし、彼らは自分では官邸に入らなかった。汚れないで過越の食事をするためである。29そこで、ピラトが彼らのところへ出て来て、言った。 A 「どういう罪でこの男を訴えるのか。」 C 30彼らは答えて、言った。 S 「この男が悪いことをしていなかったら、あなたに引き渡しはしなかったでしょう。」 C 31ピラトは言った。 A 「あなたたちが引き取って、自分たちの律法に従って裁け。」 C ユダヤ人たちは言った。 S 「わたしたちには、人を死刑にする権限がありません。」 C 32それは、御自分がどのような死を遂げるかを示そうとして、イエスの言われた言葉が実現するためであった。33そこで、ピラトはもう一度官邸に入り、イエスを呼び出して、言った。 A 「お前がユダヤ人の王なのか。」 C 34イエスはお答えになった。 十 「あなたは自分の考えで、そう言うのですか。それとも、ほかの者がわたしについて、あなたにそう言ったのですか。」 C 35ピラトは言い返した。 A 「わたしはユダヤ人なのか。お前の同胞や祭司長たちが、お前をわたしに引き渡したのだ。いったい何をしたのか。」 C 36イエスはお答えになった。 十 「わたしの国は、この世には属していない。もし、わたしの国がこの世に属していれば、わたしがユダヤ人に引き渡されないように、部下が戦ったことだろう。しかし、実際、わたしの国はこの世には属していない。」 C 37そこでピラトが言った。 A 「それでは、やはり王なのか。」 C イエスはお答えになった。 十 「わたしが王だとは、あなたが言っていることです。わたしは真理について証しをするために生まれ、そのためにこの世に来た。真理に属する人は皆、わたしの声を聞く。」 C 38ピラトは言った。 A 「真理とは何か。」 C ピラトは、こう言ってからもう一度、ユダヤ人たちの前に出て来て言った。 A 「わたしはあの男に何の罪も見いだせない。39ところで、過越祭にはだれか一人をあなたたちに釈放するのが慣例になっている。あのユダヤ人の王を釈放してほしいか。」 C 40すると、彼らは、大声で言い返した。 S 「その男ではない。バラバを。」 C バラバは強盗であった。19・1そこで・ピラトはイエスを捕らえ、鞭で打たせた。2兵士たちは茨で冠を編んでイエスの頭に載せ、紫の服をまとわせ、3そばにやって来ては、平手で打って言った。 A 「ユダヤ人の王、万歳。」 C 4ピラトはまた出て来て、言った。 A 「見よ、あの男をあなたたちのところへ引き出そう。そうすれば、わたしが彼に何の罪も見いだせないわけが分かるだろう。」 C 5イエスは茨の冠をかぶり、紫の服を着けて出て来られた。ピラトは言った。 A 「見よ、この男だ。」 C 6祭司長たちや下役たちは、イエスを見ると叫んだ。 S 「十字架につけろ。十字架につけろ。」 C ピラトは言った。 A 「あなたたちが引き取って、十字架につけるがよい。わたしはこの男に罪を見いだせない。」 C 7ユダヤ人たちは答えた。 S 「わたしたちには律法があります。律法によれば、この男は死罪に当たります。神の子と自称したからです。」 C 8ピラトは、この言葉を聞いてますます恐れ、9再び総督官邸の中に入って、イエスに言った。 A 「お前はどこから来たのか。」 C しかし、イエスは答えようとされなかった。10そこで、ピラトは言った。 A 「わたしに答えないのか。お前を釈放する権限も、十字架につける権限も、このわたしにあることを知らないのか。」 C 11イエスは答えられた。 十 「神から与えられていなければ、わたしに対して何の権限もないはずだ。だから、わたしをあなたに引き渡した者の罪はもっと重い。」 C 12そこで、ピラトはイエスを釈放しようと努めた。しかし、ユダヤ人たちは叫んだ。 S 「もし、この男を釈放するなら、あなたは皇帝の友ではない。王と自称する者は皆、皇帝に背いています。」 C 13ピラトは、これらの言葉を聞くと、イエスを外に連れ出し、ヘブライ語でガバタ、すなわち「敷石」という場所で、裁判の席に着かせた。14それは過越祭の準備の日の、正午ごろであった。ピラトはユダヤ人たちに言った。 A 「見よ、あなたたちの王だ。」 C 15彼らは叫んだ。 S 「殺せ。殺せ。十字架につけろ。」 C ピラトは言った。 A 「あなたたちの王をわたしが十字架につけるのか。」 C 祭司長たちは答えた。 S 「わたしたちには、皇帝のほかに王はありません。」 C 16そこで、ピラトは、十字架につけるために、イエスを彼らに引き渡した。こうして、彼らはイエスを引き取った。17イエスは、自ら十字架を背負い、いわゆる「されこうべの場所」、すなわちヘブライ語でゴルゴタという所へ向かわれた。18そこで、彼らはイエスを十字架につけた。また、イエスと一緒にほかの二人をも、イエスを真ん中にして両側に、十字架につけた。19ピラトは罪状書きを書いて、十字架の上に掛けた。それには、「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」と書いてあった。20イエスが十字架につけられた場所は都に近かったので、多くのユダヤ人がその罪状書きを読んだ。それは、ヘブライ語、ラテン語、ギリシア語で書かれていた。21ユダヤ人の祭司長たちはピラトに言った。 A 「『ユダヤ人の王』と書かず、『この男は「ユダヤ人の王」と自称した』と書いてください。」 C 22しかし、ピラトは答えた。 A 「わたしが書いたものは、書いたままにしておけ。」 C 23兵士たちは、イエスを十字架につけてから、その服を取り、四つに分け、各自に一つずつ渡るようにした。下着も取ってみたが、それには縫い目がなく、上から下まで一枚織りであった。24そこで、話し合った。 A 「これは裂かないで、だれのものになるか、くじ引きで決めよう。」 C それは、「彼らはわたしの服を分け合い、わたしの衣服のことでくじを引いた」という聖書の言葉が実現するためであった。兵士たちはこのとおりにしたのである。25イエスの十字架のそばには、その母と母の姉妹、クロパの妻マリアとマグダラのマリアとが立っていた。26イエスは、母とそのそばにいる愛する弟子とを見て、母に言われた。 十 「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です。」 C 27それから弟子に言われた。 十 「見なさい。あなたの母です。」 C そのときから、この弟子はイエスの母を自分の家に引き取った。28この後、イエスは、すべてのことが今や成し遂げられたのを知り、言われた。 十 「渇く。」 C こうして、聖書の言葉が実現した。29そこには、酸いぶどう酒を満たした器が置いてあった。人々は、このぶどう酒をいっぱい含ませた海綿をヒソプに付け、イエスの口もとに差し出した。30イエスは、このぶどう酒を受けると、言われた。 十 「成し遂げられた。」 C そして、頭を垂れて息を引き取られた。
31その日は準備の日で、翌日は特別の安息日であったので、ユダヤ人たちは、安息日に遺体を十字架の上に残しておかないために、足を折って取り降ろすように、ピラトに願い出た。32そこで、兵士たちが来て、イエスと一緒に十字架につけられた最初の男と、もう一人の男との足を折った。33イエスのところに来てみると、既に死んでおられたので、その足は折らなかった。34しかし、兵士の一人が槍でイエスのわき腹を刺した。すると、すぐ血と水とが流れ出た。35それを目撃した者が証ししており、その証しは真実である。その者は、あなたがたにも信じさせるために、自分が真実を語っていることを知っている。36これらのことが起こったのは、「その骨は一つも砕かれない」という聖書の言葉が実現するためであった。37また、聖書の別の所に、「彼らは、自分たちの突き刺した者を見る」とも書いてある。38その後、イエスの弟子でありながら、ユダヤ人たちを恐れて、そのことを隠していたアリマタヤ出身のヨセフが、イエスの遺体を取り降ろしたいと、ピラトに願い出た。ピラトが許したので、ヨセフは行って遺体を取り降ろした。39そこへ、かつてある夜、イエスのもとに来たことのあるニコデモも、没薬と沈香を混ぜた物を百リトラばかり持って来た。40彼らはイエスの遺体を受け取り、ユダヤ人の埋葬の習慣に従い、香料を添えて亜麻布で包んだ。41イエスが十字架につけられた所には園があり、そこには、だれもまだ葬られたことのない新しい墓があった。42その日はユダヤ人の準備の日であり、この墓が近かったので、そこにイエスを納めた。 |
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復活祭・復活の聖なる徹夜祭 | 3月30日(土) | 祭日 | |
第一朗読創世記1・1-2・2神は、お造りになったすべてのものを御覧になった。それは極めて良かった。 創世記1・1初めに、神は天地を創造された。2地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。3神は言われた。 「光あれ。」 こうして、光があった。4神は光を見て、良しとされた。神は光と闇を分け、5光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第一の日である。 6神は言われた。 「水の中に大空あれ。水と水を分けよ。」 7神は大空を造り、大空の下と大空の上に水を分けさせられた。そのようになった。8神は大空を天と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第二の日である。 9神は言われた。 「天の下の水は一つ所に集まれ。乾いた所が現れよ。」 そのようになった。10神は乾いた所を地と呼び、水の集まった所を海と呼ばれた。神はこれを見て、良しとされた。 11神は言われた。 「地は草を芽生えさせよ。種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける果樹を、地に芽生えさせよ。」そのようになった。12地は草を芽生えさせ、それぞれの種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける木を芽生えさせた。神はこれを見て、良しとされた。13夕べがあり、朝があった。第三の日である。 14神は言われた。 「天の大空に光る物があって、昼と夜を分け、季節のしるし、日や年のしるしとなれ。15天の大空に光る物があって、地を照らせ。」 そのようになった。16神は二つの大きな光る物と星を造り、大きな方に昼を治めさせ、小さな方に夜を治めさせられた。17神はそれらを天の大空に置いて、地を照らさせ、18昼と夜を治めさせ、光と闇を分けさせられた。神はこれを見て、良しとされた。19夕べがあり、朝があった。第四の日である。 20神は言われた。 「生き物が水の中に群がれ。鳥は地の上、天の大空の面を飛べ。」21神は水に群がるもの、すなわち大きな怪物、うごめく生き物をそれぞれに、また、翼ある鳥をそれぞれに創造された。神はこれを見て、良しとされた。 22神はそれらのものを祝福して言われた。 「産めよ、増えよ、海の水に満ちよ。鳥は地の上に増えよ。」 23夕べがあり、朝があった。第五の日である。 24神は言われた。 「地は、それぞれの生き物を産み出せ。家畜、適うもの、地の獣をそれぞれに産み出せ。」 そのようになった。25神はそれぞれの地の獣、それぞれの家畜、それぞれの土を這うものを造られた。神はこれを見て、良しとされた。 26神は言われた。 「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這うものすべてを支配させよう。」 27神は御自分にかたどって人を創造された。神にかたどって創造された。男と女に創造された。28神は彼らを祝福して言われた。 「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ。」 29神は言われた。 「見よ、全地に生える、種を持つ草と種を持つ実をつける木を、すべてあなたたちに与えよう。それがあなたたちの食べ物となる。30地の獣、空の鳥、地を這うものなど、すべて命あるものにはあらゆる青草を食べさせよう。」 そのようになった。31神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。夕べがあり、朝があった。第六の日である。 2・1天地万物は完成された。2第七の日に、神は御自分の仕事を完成され、第七の日に、神は御自分の仕事を離れ、安息なさった。 答唱詩編詩編104・1+2a、24+33神よ、あなたのいぶきを地のおもてに。 詩編104104・1心を尽くして神をたたえよう。 24神よ、あなたが造られたものは数えきれない。 第二朗読創世記22・1-18先祖アブラハムの献げ物 創世記その日、22・1神はアブラハムを試された。神が、「アブラハムよ」と呼びかけ、彼が、「はい」と答えると、2神は命じられた。「あなたの息子、あなたの愛する独り子イサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。わたしが命じる山の一つに登り、彼を焼き尽くす献げ物としてささげなさい。」 3次の朝早く、アブラハムはろばに鞍を置き、献げ物に用いる薪を割り、二人の若者と息子イサクを連れ、神の命じられた所に向かって行った。4三日目になって、アブラハムが目を凝らすと、遠くにその場所が見えたので、5アブラハムは若者に言った。「お前たちは、ろばと一緒にここで待っていなさい。わたしと息子はあそこへ行って、礼拝をして、また戻ってくる。」6アブラハムは、焼き尽くす献げ物に用いる薪を取って、息子イサクに背負わせ、自分は火と刃物を手に持った。二人は一緒に歩いて行った。7イサクは父アブラハムに、「わたしのお父さん」と呼びかけた。彼が、「ここにいる。わたしの子よ」と答えると、イサクは言った。「火と薪はここにありますが、焼き尽くす献げ物にする小羊はどこにいるのですか。」8アブラハムは答えた。「わたしの子よ、焼き尽くす献げ物の小羊はきっと神が備えてくださる。」二人は一緒に歩いて行った。 9神が命じられた場所に着くと、アブラハムはそこに祭壇を築き、薪を並べ、息子イサクを織って祭壇の薪の上に載せた。10そしてアブラハムは、手を伸ばして刃物を取り、息子を屠ろうとした。11そのとき、天から主の御使いが、「アブラハム、アブラハム」と呼びかけた。彼が、「はい」と答えると、12御使いは言った。「その子に手を下すな。何もしてはならない。あなたが神を畏れる者であることが、今、分かったからだ。あなたは、自分の独り子である息子すら、わたしにささげることを惜しまなかった。」13アブラハムは目を凝らして見回した。すると、後ろの木の茂みに一匹の雄羊が角をとられていた。アブラハムは行ってその雄羊を捕まえ、息子の代わりに焼き尽くす献げ物としてささげた。 14アブラハムはその場所を主・イルエ(主は備えてくださる)と名付けた。そこで、人々は今日でも「主の山に、備えあり(イエラエ)」と言っている。 15主の御使いは、再び天からアブラハムに呼びかけた。16御使いは言った。 「わたしは自らにかけて誓う、と主は言われる。あなたがこの事を行い、自分の独り子である息子すら惜しまなかったので、17あなたを豊かに祝福し、あなたの子孫を天の星のように、海辺の砂のように増やそう。あなたの子孫は敵の城門を勝ち取る。18地上の諸国民はすべて、あなたの子孫によって祝福を得る。あなたがわたしの声に聞き従ったからである。」 答唱詩編詩編16・5、8、11しあわせな人、神の恵みを受け、その喜びに生きる人。 詩編1616・5神よ、あなたはわたしの受けるゆずり、 8わたしは絶えず神を思う。 11あなたはいのちの道を示してくださる。 第三朗読出エジプト14・15-15・1aイスラエルの人々は海の中の乾いた所を進んで行った。 出エジプト記その日、追い迫るエジプト軍を見て、イスラエルの人々が非常に恐れたとき、14・15主はモーセに言われた。「なぜ、わたしに向かって叫ぶのか。イスラエルの人々に命じて出発させなさい。16杖を高く上げ、手を海に向かって差し伸べて、海を二つに分けなさい。そうすれば、イスラエルの民は海の中の乾いた所を通ることができる。17しかし、わたしはエジプト人の心をかたくなにするから、彼らはお前たちの後を追って来る。そのとき、18わたしはファラオとその全軍、戦車と騎兵を破って栄光を現す。わたしがファラオとその戦車、騎兵を破って栄光を現すとき、エジプト人は、わたしが主であることを知るようになる。」19イスラエルの部隊に先立って進んでいた神の御使いは、移動して彼らの後ろを行き、彼らの前にあった雲の柱も移動して後ろに立ち、20エジプトの陣とイスラエルの陣との間に入った。真っ黒な雲が立ちこめ、光が闇夜を貫いた。両軍は、一晩中、互いに近づくことはなかった。21モーセが手を海に向かって差し伸べると、主は夜もすがら激しい東風をもって海を押し返されたので、海は乾いた地に変わり、水は分かれた。22イスラエルの人々は海の中の乾いた所を進んで行き、水は彼らの右と左に壁のようになった。23エジプト軍は彼らを追い、ファラオの馬、戦車、騎兵がことごとく彼らに従って海の中に入って来た。24朝の見張りのころ、主は火と雲の柱からエジプト軍を見下ろし、エジプト軍をかき乱された。25戦車の車輪をはずし、進みにくくされた。エジプト人は言った。「イスラエルの前から退却しよう。主が彼らのためにエジプトと戦っておられる。」 26主はモーセに言われた。「海に向かって手を差し伸べなさい。水がエジプト軍の上に、戦車、騎兵の上に流れ返るであろう。」27モーセが手を海に向かって差し伸べると、夜が明ける前に海は元の場所へ流れ返った。エジプト軍は水の流れに逆らって逃げたが、主は彼らを海の中に投げ込まれた。28水は元に戻り、戦車と騎兵、彼らの後を追って海に入ったファラオの全軍を覆い、一人も残らなかった。29イスラエルの人々は海の中の乾いた所を進んだが、そのとき、水は彼らの右と左に壁となった。30主はこうして、その日、イスラエルをエジプト人の手から救われた。イスラエルはエジプト人が海辺で死んでいるのを見た。31イスラエルは、主がエジプト人に行われた大いなる御業を見た。民は主を畏れ、主とその僕モーセを信じた。15・1aモーセとイスラエルの民は主を賛美して、歌をうたった。 答唱詩編出エジプト15・1b+2b、3+4+5、6+16bc神よ、あなたはわたしの力、わたしの守り、救い。 出エジプト1515・1b神をたたえよう、神は栄光を現し、 3神は勇者、その名は主。 6神よ、あなたの右の手には力がみなぎり、 第四朗読イザヤ54・5-14あなたを贖う主は、とこしえの慈しみをもってあなたを憐れむ。 イザヤの預言54・5エルサレムよ、 11苦しめられ、嵐にもてあそばれ 答唱詩編詩編30・2b+4、13神はわたしを救われる。そのいつくしみをたたえよう。 詩編3030・2b神よ、あなたはわたしを救い、 13わたしの心はあなたをたたえ、 第五朗読イザヤ55・1-11わたしのもとに来るがよい。魂に命を得よ。わたしはあなたたちととこしえの契約を結ぶ。 イザヤの預言55・1主は言われる。 6主を尋ね求めよ、見いだしうるときに。 答唱詩編イザヤ12・2、4、5喜びに心をはずませ、救いの泉から水を汲む。 イザヤ1212・2神はわたしの救い、わたしは信頼して恐れない。 4神をたたえ、その名を呼ぼう。 5神は不思議なわざをなしとげられた。 第六朗読バルク3・9-15、32-4・4主の輝きに向かって歩め。 バルクの預言3・9聞け、イスラエルよ、命をもたらす戒めを。 15いったいだれが知恵の在りかを見いだしただろうか。 答唱詩編詩編19・8、9主よ、あなたは永遠のいのちのことば。 詩編1919・8神の教えは完全で、魂を生き返らせ、 9神の定めは正しく、心の喜びであり、 第七朗読エゼキエル36・16-17a、18-28わたしは清い水をお前たちの上に振りかけ、新しい心を与える。 エゼキエルの預言36・16主の言葉がわたしに臨んだ。17「人の子よ、イスラエルの家は自分の土地に住んでいたとき、それを自分の歩みと行いによって汚した。18それゆえ、わたしは憤りを彼らの上に注いだ。彼らが地の上に血を流し、偶像によってそれを汚したからである。19わたしは彼らを国々の中に散らし、諸国に追いやり、その歩みと行いに応じて裁いた。20彼らはその行く先の国々に行って、わが聖なる名を汚した。事実、人々は彼らについて、『これは主の民だ、彼らは自分の土地から追われて来たのだ』と言った。21そこでわたしは、イスラエルの家がその行った先の国々で汚したわが聖なる名を惜しんだ。 22それゆえ、イスラエルの家に言いなさい。主なる神はこう言われる。イスラエルの家よ、わたしはお前たちのためではなく、お前たちが行った先の国々で汚したわが聖なる名のために行う。23わたしは、お前たちが国々で汚したため、彼らの間で汚されたわが大いなる名を聖なるものとする。わたしが彼らの目の前で、お前たちを通して聖なるものとされるとき、諸国民は、わたしが主であることを知るようになる、と主なる神は言われる。24わたしはお前たちを国々の間から取り、すべての地から集め、お前たちの土地に導き入れる。 25わたしが清い水をお前たちの上に振りかけるとき、お前たちは清められる。わたしはお前たちを、すべての汚れとすべての偶像から清める。26わたしはお前たちに新しい心を与え、お前たちの中に新しい霊を置く。わたしはお前たちの体から石の心を取り除き、肉の心を与える。27また、わたしの霊をお前たちの中に置き、わたしの掟に従って歩ませ、わたしの裁きを守り行わせる。28お前たちは、わたしが先祖に与えた地に住むようになる。お前たちはわたしの民となりわたしはお前たちの神となる。」 答唱詩編詩編51・12+13、18+19あなたのいぶきを受けて、わたしは新しくなる。 詩編5151・12神よ、わたしのうちに清い心を造り、 18あなたはいけにえを望まれず、 使徒書の朗読ローマ6・3-11死者の中から復活させられたキリストはもはや死ぬことがない。 使徒パウロのローマの教会への手紙皆さん、6・3あなたがたは知らないのですか。キリスト・イエスに結ばれるために洗礼を受けたわたしたちが皆、またその死にあずかるために洗礼を受けたことを。4わたしたちは洗礼によってキリストと共に葬られ、その死にあずかるものとなりました。それは、キリストが御父の栄光によって死者の中から復活させられたように、わたしたちも新しい命に生きるためなのです。5もし、わたしたちがキリストと一体になってその死の姿にあやかるならば、その復活の姿にもあやかれるでしょう。6わたしたちの古い自分がキリストと共に十字架につけられたのは、罪に支配された体が滅ぼされ、もはや罪の奴隷にならないためであると知っています。7死んだ者は、罪から解放されています。8わたしたちは、キリストと共に死んだのなら、キリストと共に生きることにもなると信じます。9そして、死者の中から復活させられたキリストはもはや死ぬことがない、と知っています。死は、もはやキリストを支配しません。10キリストが死なれたのは、ただ一度罪に対して死なれたのであり、生きておられるのは、神に対して生きておられるのです。11このように、あなたがたも自分は罪に対して死んでいるが、キリスト・イエスに結ばれて、神に対して生きているのだと考えなさい。 福音朗読マルコ16・1-7アレルヤ、アレルヤ、アレルヤ。 マルコによる福音16・1安息日が終わると、マグダラのマリア、ヤコブの母マリア、サロメは、イエスに油を塗りに行くために香料を買った。2そして、週の初めの日の朝ごく早く、日が出るとすぐ墓に行った。3彼女たちは、「だれが墓の入り口からあの石を転がしてくれるでしょうか」と話し合っていた。4ところが、目を上げて見ると、石は既にわきへ転がしてあった。石は非常に大きかったのである。5墓の中に入ると、白い長い衣を着た若者が右手に座っているのが見えたので、婦人たちはひどく驚いた。6若者は言った。「驚くことはない。あなたがたは十字架につけられたナザレのイエスを捜しているが、あの方は復活なさって、ここにはおられない。御覧なさい。お納めした場所である。7さあ、行って、弟子たちとペトロに告げなさい。『あの方は、あなたがたより先にガリラヤヘ行かれる。かねて言われたとおり、そこでお目にかかれる』と。」 |
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復活の主日・日中のミサ | 3月31日(日) | 祭日 | |
第一朗読使徒言行録10・34a、37-43イエスが死者の中から復活した後、わたしたちはイエスと一緒に食事をした。 使徒たちの宣教その日、10・34aペトロは口を開きこう言った。37「あなたがたはこのことをご存じでしょう。ヨハネが洗礼を宣べ伝えた後に、ガリラヤから始まってユダヤ全土に起きた出来事です。38つまり、ナザレのイエスのことです。神は、聖霊と力によってこの方を油注がれた者となさいました。イエスは、方々を巡り歩いて人々を助け、悪魔に苦しめられている人たちをすべていやされたのですが、それは、神が御一緒だったからです。39わたしたちは、イエスがユダヤ人の住む地方、特にエルサレムでなさったことすべての証人です。人々はイエスを木にかけて殺してしまいましたが、40神はこのイエスを三日目に復活させ、人々の前に現してくださいました。41しかし、それは民全体に対してではなく、前もって神に選ばれた証人、つまり、イエスが死者の中から復活した後、御一緒に食事をしたわたしたちに対してです。42そしてイエスは、御自分が生きている者と死んだ者との審判者として神から定められた者であることを、民に宣べ伝え、力強く証しするようにと、わたしたちにお命じになりました。43また預言者も皆、イエスについて、この方を信じる者はだれでもその名によって罪の赦しが受けられる、と証ししています。」 答唱詩編詩編118・1+2、16+17、22+23きょうこそ神が造られた日、喜び歌え、この日をともに。 詩編118118・1恵み深い神に感謝せよ。 16神の右の手は高く上がり、 22家造りの捨てた石が、 第二朗読コロサイ3・1-4上にあるものを求めなさい。そこにはキリストがおられる。 使徒パウロのコロサイの教会への手紙皆さん、3・1あなたがたは、キリストと共に復活させられたのですから、上にあるものを求めなさい。そこでは、キリストが神の右の座に着いておられます。2上にあるものに心を留め、地上のものに心を引かれないようにしなさい。3あなたがたは死んだのであって、あなたがたの命は、キリストと共に神の内に隠されているのです。4あなたがたの命であるキリストが現れるとき、あなたがたも、キリストと共に栄光に包まれて現れるでしょう。 または①コリント5・6b-8新しい練り粉のままでいられるように、古いパン種をきれいに取り除きなさい。 使徒パウロのコリントの教会への手紙皆さん、5・6bわずかなパン種が練り粉全体を膨らませることを、知らないのですか。7いつも新しい練り粉のままでいられるように、古いパン種をきれいに取り除きなさい。現に、あなたがたはパン種の入っていない者なのです。キリストが、わたしたちの過越の小羊として屠られたからです。8だから、古いパン種や悪意と邪悪のパン種を用いないで、パン種の入っていない、純粋で真実のパンで過越祭を祝おうではありませんか。 福音朗読ヨハネ20・1-9アレルヤ、アレルヤ。わたしの過越、キリストはほふられた。主のうちにともに喜び楽しもう。アレルヤ、アレルヤ。 ヨハネによる福音20・1週の初めの日、朝早く、まだ暗いうちに、マグダラのマリアは墓に行った。そして、墓から石が取りのけてあるのを見た。2そこで、シモン・ペトロのところへ、また、イエスが愛しておられたもう一人の弟子のところへ走って行って彼らに告げた。「主が墓から取り去られました。どこに置かれているのか、わたしたちには分かりません。」3そこで、ペトロとそのもう一人の弟子は、外に出て墓へ行った。4二人は一緒に走ったが、もう一人の弟子の方が、ペトロより速く走って、先に墓に着いた。5身をかがめて中をのぞくと、亜麻布が置いてあった。しかし、彼は中には入らなかった。6続いて、シモン・ペトロも着いた。彼は墓に入り、亜麻布が置いてあるのを見た。7イエスの頭を包んでいた覆いは、亜麻布と同じ所には置いてなく、離れた所に丸めてあった。8それから、先に墓に着いたもう一人の弟子も入って来て、見て、信じた。9イエスは必ず死者の中から復活されることになっているという聖書の言葉を、二人はまだ理解していなかったのである。 または、ミサが、夕刻の場合ルカ24・13-35アレルヤ、アレルヤ。わたしの過越、キリストはほふられた。主のうちにともに喜び楽しもう。アレルヤ、アレルヤ。 ルカによる福音24・13この日、すなわち週の初めの日、二人の弟子が、エルサレムから六十スタディオン離れたエマオという村へ向かって歩きながら、14この一切の出来事について話し合っていた。15話し合い論じ合っていると、イエス御自身が近づいて来て、一緒に歩き始められた。16しかし、二人の目は遮られていて、イエスだとは分からなかった。17イエスは、「歩きながら、やり取りしているその話は何のことですか」と言われた。二人は暗い顔をして立ち止まった。18その一人のクレオパという人が答えた。「エルサレムに滞在していながら、この数日そこで起こったことを、あなただけはご存じなかったのですか。」19イエスが、「どんなことですか」と言われると、二人は言った。「ナザレのイエスのことです。この方は、神と民全体の前で、行いにも言葉にも力のある預言者でした。20それなのに、わたしたちの祭司長たちや議員たちは、死刑にするため引き渡して、十字架につけてしまったのです。21わたしたちは、あの方こそイスラエルを解放してくださると望みをかけていました。しかも、そのことがあってから、もう今日で三日目になります。22ところが、仲間の婦人たちがわたしたちを驚かせました。婦人たちは朝早く墓へ行きましたが、23遺体を見つけずに戻って来ました。そして、天使たちが現れ、『イエスは生きておられる』と告げたと言うのです。24仲間の者が何人か墓へ行ってみたのですが、婦人たちが言ったとおりで、あの方は見当たりませんでした。」25そこで、イエスは言われた。「ああ、物分かりが悪く、心が鈍く預言者たちの言ったことすべてを信じられない者たち、26メシアはこういう苦しみを受けて、栄光に入るはずだったのではないか。」27そして、モーセとすべての預言者から始めて、聖書全体にわたり、御自分について書かれていることを説明された。 28一行は目指す村に近づいたが、イエスはなおも先へ行こうとされる様子だった。29二人が、「一緒にお泊まりください。そろそろ夕方になりますし、もう日も傾いていますから」と言って、無理に引き止めたので、イエスは共に泊まるため家に入られた。30一緒に食事の席に着いたとき、イエスはパンを取り、賛美の祈りを唱え、パンを裂いてお渡しになった。31すると、二人の目が開け、イエスだと分かったが、その姿は見えなくなった。32二人は、「道で話しておられるとき、また聖書を説明してくださったとき、わたしたちの心は燃えていたではないか」と語り合った。33そして、時を移さず出発して、エルサレムに戻ってみると、十一人とその仲間が集まって、34本当に主は復活して、シモンに現れたと言っていた。35二人も、道で起こったことや、パンを裂いてくださったときにイエスだと分かった次第を話した。 |